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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-4



「分かった。応援する。何があっても、絶対」
「・・ありがとう、恵梨」

瑞稀は笑顔で親友に言葉を返した。
それでも、瑞稀の心にだって少し不安がある。
異国の地で一人、トランペットを担当する。そんなマンガみたいな展開が自分に起きるなんて思ってもみなかった。
だけれど、大好きなトランペットで、人々の幸せに貢献できるなら。これ以上の幸せはない。
そう、喜びに浸っていたが、ふと家族の事を思い出した瑞稀は元気を無くした。

「(・・絶対、反対される・・)」





「ダメに決まってるでしょ!?何を言い出すかと思えば・・!!」
「・・・(ホラ・・当たった・・)」

見事に考えがあたってしまった瑞稀はギャーギャーと騒ぎ始めた祖母達に気づかれないようにため息をついた。
今は、夕食が終わった直後。片付けを始めてしまうと、皆が揃う時間が早々無いので自分が食器を片付ける前に話を切り出したのだが・・・。
案の定、反対された。それも凄い剣幕で。
祖母は「高校生になったばかりだ」とか「学校はどうする気だ」とか騒いでいて、祖父も「うるさい」と言いつつも、同じような事を言っている。
叔父は、黙って瑞稀を見たまま。だが、瑞稀は知っている。叔父がこうするのは、興味がないとかではなく、相手にどれだけの決意があるのか知りたい、聞きたいということ。
その意図を汲み取った瑞稀は、膝の上で握り締めている手が震えそうになるのを堪え、口を開けた。

「学校は、やめる。行きたいんだ、アメリカに。どれだけ自分で挑戦できるか、知りたい」
「なら、卒業した後でいいじゃない!就職だって高卒でも難しいのよ!?アンタ、舐めてんじゃないの!?」
「私は、どこにも就職しない!」
「な!!」

祖母の言葉で、言おうかどうするかと考えていた迷いが消えた。
今の今まで、誰にも言ったことのない自分の夢を・・伝えたかった。

「私は・・プロのトランペット奏者になりたいんだ!」
「「な・・!」」
「・・・・」

祖父母の二人が驚いた。だが、すぐにギャーギャーと再び騒ぎ出した。
「賞を取っただけでしょう!?何を馬鹿なことを!」、「それで食っていけんのか!!」など。まともに聞き取れたのはそれだけだった。
瑞稀本人、初めて伝えた言葉に気力を使ってしまって肩で息をしていたのと、夢を反対されたショックと、言えた安心が頭の中を巡っていた。

「(なんで・・、初めて・・言ったのに・・!!)」

悔しさで涙を堪えた時、テーブルがバンっという強い音を立てた。それに伴って、重ねていた食器も揺れて鈍い音を立てる。
その不協和音で、祖父母と今にも泣き出しそうな瑞稀が我に返って音を出した人物を見た。
それは、ずっと黙っていた叔父だった。



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