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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-3



「じゃあ、改めまして。美南香菜です」
「松樹優羽っていうんだ。よろしく」
「ウチは紫波恵梨って言います。よろしくー」

まず部屋に入ってすぐにお互い自己紹介。一年で同年代とすぐ仲良くなれるようになった恵梨は口調も柔らかで、リラックスしているように見える。
そのことに瑞稀は少し安心しながらも、様々な話を繰り広げた。
まず、担当している楽器の話。さらには部活の話。中学の話も出た。
そして、話し始めて一時間が経った頃。話は女の子が大好きな恋愛話に変わっていった。

「へえ、優羽ちゃんって女の子からモテるんだ。」
「なんか、予想範囲内なんだけど・・」
「笑うな瑞稀ちゃん!!」
「アハハー」
「香菜ちゃん!!」

必死に笑いを堪える瑞稀の隣で平然と笑う香菜を一喝する優羽は顔が赤い。
恵梨は、ふと思った疑問を口にした。

「・・瑞稀は好きな人とかいないの?」
「・・・っ!!」

その言葉で、瑞稀は身体をびくつかせ、黙り込んだ。その様子を、先程までとは打って変わって静かに見る優羽と香菜。
急に静まった空気に、恵梨は何かマズイことでも言ったのかと戸惑った。
全員が黙り込み、悪い空気になったとき。

「・・ジュース買ってくる」

そう言って部屋を出ていったのは質問をされた本人の瑞稀。
恵梨は戸惑って声もかけられず、ただ部屋の扉が閉まるのをただ見ていただけだった。
どうしていいか分からずにいると、優羽が口を開いた。

「・・瑞稀ちゃんはね、いるんだよ。ずっと、大好きな人」
「・・・・え?」
「うん、6年生の時から。気付いてなかったみたいだけどねー」

鼓笛隊の仲間である優羽と香菜は少なからず、拓斗の話は聞いていた。そのときの瑞稀は、まだ拓斗への想いを自覚する前だったが。
ただ、春休みにパタリと話をしなくなったことに加えて瑞稀が急にバッサリと伸ばしていた髪の毛を切ったことで、何かあったと考えてなんとか話を聞いた。
丁度瑞稀も秋乃に話す前で、誰にも言えずに苦しんでいたので良い吐け口になった。

「5年生のときから一緒にいて・・6年生の時に色んな辛いことがあって。」
「それでもずっと傍に居てくれたんだって。でも、卒業式のあとに」

そのまま、恵梨に自分たちが聞いた話を全部話した。
本来簡単に人に言ってはならないのだが、優羽と香菜は瑞稀が信頼を寄せている親友の恵梨なら話しても大丈夫だと判断したのだろう。
瑞稀の、2年間の出来事が恵梨に伝えられた。

「・・・・・そんな事があったんだ・・」
「そ。まだ結構気にしてるからウチらもあまり恋愛話出来なかったんだけど」
「まー、しょうがないよねー」
「・・瑞稀、迎えに行ってくるね。」

恵梨は瑞稀に謝ろうと立ち上がった。そして二人から「行ってらっしゃーい」という言葉を背に部屋の扉を開けた。
そして廊下に出て、瑞稀がいるであろうエレベーターホールの自販機に向かった。




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