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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2



時間と場所変わって、夏休み。の、朝8時。
瑞稀は都内で有数の音楽ホールにいた。そばには恵梨や後輩、先輩たちが一緒だ。
この大きなホールで今年も鼓笛フェスティバルが行われる。
本番は明日だが、前日は立ち位置などのリハーサルを行う為に泊まり込みなのだ。
まぁ、毎年のことだが。

「瑞稀ちゃん!」

ホールの入口、ロビーでリハーサル参加の受付を済ませていると横から声がかかった。
鼓笛隊の優羽だった。傍らには香菜もいた。
二人に気づくと瑞稀は先輩に断りを入れてから駆け寄った。

「おはよ、瑞稀ちゃん!」
「おはよ。早かったんだね皆。」
「まぁ、今ホールの中で寝てるよ。」

仲間の到着が早かったことを素直に告げると、優羽が苦笑いしながら二人が出てきたホールの扉の奥を指差す。
瑞稀が二人を避けて見ると、最後列の座席で寝ている集団を見つけた。紛れも無く、見知った人たちばかり。これには苦笑いを浮かべるしか無かった。

「瑞稀、そろそろ荷物置きに行くって先輩が」
「あ、恵梨。了解。ゴメン、あとでまた合流するね」
「うん!頑張って瑞稀ちゃん!」
「リハ、見てるからねー」

二人から離れて、部員の元に戻って二人に手を振った。
小声で小さく恵梨が謝った。邪魔してごめんと。それに瑞稀は笑顔で大丈夫と答えた。
確かに少ししか話せなかったのは寂しいが、このあとのプログラムを考えるとそう遠くない時間に会える。

瑞稀は事前にもらったリハーサルの工程表を確認した。

絽楽学園吹奏楽部は都内学校の代表として来ていて、最初のファンファーレと開会式が終わった直後のトップバッターを担当することになっている。特別出場なので、賞は何も貰えないが。
次いで、瑞稀が所属する『music familiar』は午前の部最後を飾る。
また、この順列は遅刻者が入った後なので一番観客が増える時間でもある。
曲は2曲。吹奏楽部の演奏と違い、ソロは無いし2nd担当だが逆に変なプレッシャーも無く落ち着いて吹けるだろう。
トランペット指導者のヒカリの配慮に、瑞稀はただお礼を言った。

だが、出番1時間前からリハーサル室でゲネプロの時間が当てられていた。
(ゲネプロというのは、本番さながらに通して演奏・演技することを言います。)
その時間は、吹奏楽部の演奏が終わってすぐに始まるので瑞稀はすぐに鼓笛隊の方に合流しなければならないのだ。
特に楽器が変わったりするわけでも無いんだが、音合わせくらいはしておかないと綺麗なハーモニーを奏でることは出来ない。

それでも、どちらか一方の出場を断念することはしなかった。
ただ、この大舞台でトランペットを吹きたかった。去年から、少しずつ開花しているという自分の才能を伸ばすために。
来てくれた観客に、自分と仲間の旋律を聞いてもらいたくて。

「よし、じゃあリハ行くよ!」
「「おぉ!!」」


先輩の声で、楽器をそれぞれ持ちホールに向かう。瑞稀は恵梨と片付けを抜けるタイミングを確認して置き去りにしてしまう譜面台の回収を頼んだ。恵梨は快く引き受けてくれた。
下手に着き、スタッフと入るタイミングを確認して舞台に上がった。
すぐに椅子に座り、照明や壇上の音の響き具合を確認し、スタッフと細かい設営を行う。
もう少し指揮者は前にすべきだとか、部員の並び方の調整、ファンファーレ時のカーテンの開き具合、司会者とのアイコンタクトの確認・・気がつけば持ち時間の10分を使った。
スタッフからリハ一回目の終了を言われ、上手に退場する。
瑞稀は控え室に戻る部員と分かれて鼓笛隊の皆が居る座席へ向かった。

一回目のリハーサルで基本的に音を出すことは禁じられている。スタッフと立ち位置などの確認を済ませてから午後にある二回目のリハーサルで演奏してみる。
そして調整が必要ならばまたスタッフと話し合う。
これが、今日一日のスケジュールだ。
全てが終われば、合宿所に行き夕飯となる。その後、お風呂となり合宿所内の電気が23時で消える。
それでも、各部屋の電気は自由に点灯出来るので基本的に皆起きていて本番について話し合ったり、ビデオカメラで録画していたリハーサル風景を備え付けられているテレビで見て反省をしたりする。
さすがに、24時を回ってしまえば疲れた身体を癒す為に寝てしまうが。


今は、夕飯が終わりお風呂を終えたところ。
瑞稀はファンファーレの朝練が早いので、鼓笛隊のメンバーに迷惑をかけたくなくて吹奏楽部員の部屋に泊まっていた。二人部屋で、同室者は恵梨。
そこに、優羽と香菜が遊びに来ていた。




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