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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-7



次の日。放課後になると瑞稀は出席番号のおかげで窓際の一番後ろという最高の席から立ち上がった。
今日から始まった授業の教科書等をひとりひとりに与えられたロッカーに仕舞うと、通学鞄と、このあとで使う為のトランペットケースを肩に背負うと一番に教室を出た。
音楽室がある、専攻棟に向かうために。
その途中で、クラスメイトと何人かすれ違って上辺だけの挨拶を交わす。
まだ校舎に慣れていない瑞稀は、事前にもらった校舎案内の紙をいちいち確認しながら足を進めていく。

「・・んーっと・・」


しかし、途中で見方を間違えてしまい、遠回りする羽目になってしまった。
地図に不慣れな自分に溜息をつきながら、音楽室へ歩いていく。
小さなトラブルもありながらも、なんとか専攻棟の入口に着いた瑞稀は、案内の紙をポケットにしまった。
もうここから先は迷うこともない。
真っ直ぐに進んで、突き当たりにある階段を三階まで登っていくだけだ。
もうすぐで音楽室に着くと思うと、柄にもなく少し緊張してきた瑞稀。
二回程深呼吸すると、止めていた足を動かした。
その時、後ろから声がかけられた。

「・・あれ・・。八神さん?」
「・・え?あ・・・」

その声に振り返ると、こちらに向かって歩いてくる紫波恵梨の姿が。
その姿を認識すると同時に、どうしてここに居るのかと疑問を持った。
恵梨は、瑞稀の目の前まで歩いてきた。笑顔で、話しかける。

「八神さんも部活見学に向かうの?」
「うん。って言っても、参加だけど。吹奏楽部に」

新しい環境での会話に慣れてきた瑞稀は、会話をしようと努力をしていて、なるべく長く会話をしてみようと想い、ポンポン言葉を出していく。
そんな言葉に、顔を輝かせた恵梨は嬉しそうに瑞稀の手を取った。

「八神さんも!ウチも吹奏楽部に行くんだよ!参加の方で!」
「え、そうなの?じゃあ・・楽器は・・?」
「やー、今日は持ってこれなくて。明日は持ってくるけどね。」
「あ、そうなんだ・・。何の楽器をやってるの?」
「サックスだよ。八神さんは?って言っても、そのケース見ればわかるんだけどね」

そう言って笑った恵梨の顔が、瑞稀の緊張を少し和らげた。
初めて右手に感じる人の温もりに、瑞稀は戸惑いながらも嬉しく感じて顔を綻ばせた。

「うん。トランペットだよ」
「やっぱり!当たった!」

語尾に音符マークがつきそうな程、言葉を弾ませた恵梨は嬉しそうに小さくガッツポーズをした。それを見た瑞稀は、余計に顔を緩ませた。
恵梨は、瑞稀の手を握ったまま、階段へ向かった。

「行こう、八神さん!」
「うん!」





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