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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-1



「・・よし」


自室の鏡で自分の姿を確認しながら少女は力を抜いた。
着慣れない、紺色のセーターにセーラー服。フワッと広がる紺色のスカート。
いつもは直さない寝癖も、今日ばかりは直す。
ランドセルとはまったく違う蒼色の通学鞄を手にすると、部屋を出て玄関へ向かう。
玄関に並べられた黒いローファー靴に足を入れ、つま先をトントンと地面を叩く。
その様子を、少女の後ろをついてくるように玄関まで見送る家族が見ていた。

「・・行ってらっしゃい」
「うん。行ってきます」

手を振りながらドアを開け、外に出た。
暖かい風を受けて大きく伸びをした少女は、深呼吸をして歩き始めた。
春休み中、肩くらいまであった少し長く伸びていた黒髪をバッサリ切った少女。
八神瑞稀は今日この日をもって、中学生になった。



瑞稀が通うことになった絽学学園は中等部と高等部に別れていて、敷地が広い。
また、前にも説明した通り英語が盛んな学校で、都内で行われるスピーチ大会に6年連続で3位入賞以上を納めている。
ただ、部活としてはあまり有名校ではなく、一番最近のものでバスケ部が5年前に関東大会優勝したのみである。

瑞稀が入ろうとしている吹奏楽部もその中の一つ。人数は有名校と比べて各パートそれぞれ少ない。
故にハーモニーは綺麗でも音量が足らずにいつも入賞せず終わってしまっている。

ちなみに、上に書いた観察は瑞稀が春休みに見学したときの感想。
鼓笛隊を辞める訳ではないが、吹奏楽部の方を優先させていくことになる。
もうすでに話は高等部の指導者や隊長としていて、了承も貰っている。
少し寂しいが、瑞稀にとってトランペットが一番好きでやりたいことなので、背に腹は代えられない思いだった。




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