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『tetsu』
【その他 官能小説】

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『tetsu』-4

「見て〜、私は浴衣ブカブカなんだけど(笑)」
私は背も低い方で、浴衣はひきずってしまうぐらい大きかった。
「チビだからなぁ〜。転ぶなよ(笑)」
そう言って彼は冷蔵庫からお酒を出してきた。さっきコンビニで買ったチューハイだ。私も彼の隣に座り、差し出された缶を受け取った。
『かんぱぁい!!』
私も小さなチューハイを一缶買っていた。私はまだ19だったので、お酒のおいしさがよく分からなかった。でも彼と飲めるということもあり、アルコールが低い桃のチューハイを選んだ。彼はそこそこお酒は強いらしく、あまり酔ったことがないと言っていた。私の彼氏は酒癖が悪くうんざりしていたので、また彼に惹かれてしまった。
「昼間石原さんが言ってくれたこと嬉しかったよ」
テレビもつまらなくなってきて、そろそろ寝ることを考えていたその時、彼が話し始めた。
「俺って、自分では真面目に付き合ってるつもりなのに振られること多くて。いつも見た目はいいのに中身はつまらないとか言われちゃってさ。この前別れた彼女にもそう言われた。俺は付き合う相手には自分の全部を見てもらいたいから、今までそうしてきたんだ。でもそれじゃダメなのかなって思い始めた時に、石原さんの言葉聞いて嬉しかった。あんなこと言われたの初めてだったし。ちゃんと石原さんは俺のこと見てくれてたんだなぁって。ありがとな。」
「ううん!そんな、あたしはほんとのこと言っただけだし!」
「ありがとう」
私はそう言われてそれ以上言葉が出てこなかった。嬉しくて涙が出そうだった。
「石原さんと一緒に来てよかった。」
私の中でこらえていた涙が我慢しきれず溢れ出てしまった。彼はそれに気付き驚いてしまった。
「ごめん!俺変なこと言っちゃって。迷惑だったよな。」
私は首を横に振りながら答えた。
「違うの。嬉しくて…。昼間言ったこと、ちょっとおせっかいだったかなって思ってたから。そんな風に言ってもらえて嬉しい…」
「……」
彼は泣いている私の肩に手をかけ、自分の胸に引き寄せた。
「武田さん…?」
私はまたびっくりしてしまった。でも彼の胸の中はとてもあったかく、そのまま体を預けてしまった。
「俺もすごい嬉しい。だから泣くなよ。」
彼は私から体を離し、私の顔に触れた。彼は指で私の涙を拭ってくれた。私が目を開けて彼を見つめると、彼も私の瞳をじっと見ていた。
「武田さ…っん」
私が彼の名前を呼ぼうとした時、彼の唇によって言葉を遮られた。彼のやわらかく温かい唇が私の唇と重なっている。私はいきなりのことにびっくりして目を閉じるのも忘れていた。私が呆然としていると、彼は唇を離した。
「ごめん、今すごく石原さんにキスしたくなって抑えられなかった。」
私が何を言っていいか分からず黙っていると、彼はソファーから立ち上がった。
「もう寝よっか。俺ソファーで寝るから、ベッド使えばいいよ。」
「えっ?いいよ、私がソファーで!」
私はまだ少し動揺していたが、彼をソファーで寝かすわけにはいかないと思って声を出した。
「ソファーじゃ疲れとれないでしょ!武田さん運転で疲れてるのに…」
「女の子をソファーで寝かすようなことできないって。」
「じゃじゃぁ、一緒にベッドで寝る…?」
私は大変なことを口走ってしまった。少しは期待していたことだけど、まさか自分から口に出すなんて思ってもみなかった。あんなことがあってまだ動揺してるからだろうか…。
「あっ、あの、変な意味じゃなくて。ダブルベッドだから広いし、くっついたりしなくても寝れるかなって…。ごめん…、嫌だよね…。」
私は慌てて思い付くまましゃべっていた。自分が言ったことが恥ずかしくて、顔が赤くなっていく気がしたのでうつむいてしまった。
「ははっ!嫌じゃないよ、一緒に寝よっか。」
彼は吹きだしたように笑って、そう言ってくれた。私は彼の気遣いが嬉しかった。小さく頷いてベッドに向かった。


ベッドサイドの明かりだけを残し、二人でベッドに入った。私はできるだけベッドの端により、彼にくっつかないようにした。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
私は彼に背中を向けて眠りに就こうとした。でも、私はもちろん彼の横で寝れるわけがなかった。さっきのキスのこともあり、ドキドキしっぱなしだった。彼とキスしちゃったんだと思うとカラダが熱くなる。
「石原さん、起きてる?」
「うん」
いきなり声をかけられて、体がびくっとした。
「さっきのキス、ふざけた気持ちじゃないから。」
「えっ?」
私は思わず彼の方に体を向けた。
「俺、今日石原さんと一緒にいてほんと楽しかったから。」
「それはあたしもだけど。」
「ほんとはキス以上のこともしたくなったけど、彼氏いる石原さんのこと傷付けたくなかったから抑えた。」
彼はそう言って私の方に近付いた。そしてさっきのように、私を抱き寄せた。


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