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カラスの巣(短編小説)
【熟女/人妻 官能小説】

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第12話 ギフト〜永遠の宝物〜-3

玲子は、気を取り直して明るく振舞って見せた。
それに対して川端も、安堵の表情を浮かべながら玲子を見ていた。

「しかし、陽一の奴もママに試着させないで、よくサイズなんか分かったよな?。本当にピッタリだもんな・・・・・・・。まさか、あいつが自ら試着したとか?」

「ふふ・・・私と陽一さんはベッドで確かめ合った仲よ。お互い知らない事なんて何もないわよ」

「か〜・・・また俺だけ、除け者扱いかよ・・・・・。そうだ・・・だったら俺もママに何か、店で着るようなドレスでもプレゼントするよ」

「え〜・・・本当に?」

「ああ・・・本当だとも。その代わり・・・今夜、俺にもママのサイズを計らせてよ?」

「もう・・・川端さんたら・・・すぐ、そっちの話に戻るんだから・・・・・・。いい加減にしないとカウンター席に戻すわよ」

「お〜・・・怖怖・・・だったら、俺もそろそろ退散しようかね」

「えっ・・・もう帰るの?。もしかして・・・今の気に障ったのかしら?。ほんの冗談つもりだったんですけど・・・本当に申し訳ございませんでした」

玲子は、ただの戯言だとしても、川端のかんに触ったと思い頭を下げて謝罪した。
いくら川端と親しくしていても、店と客としての垣根は踏まえていた。

「違うよママ・・・本当は、陽一の届け物を渡す為だけに来たんだよ。急だったものだからさ、女房には伝えて無いんだ。だから、早く帰んないと、トドが怒るからさ・・・・・・ふふ」

「そんな・・・わざわざ私何かの為に・・・・・・」

「それに・・・ママの顔も見たくなったも本当だから・・・・・・。それじゃあ・・・お勘定はいくらになる?」

「いいえ・・・お勘定なんていただけません。こんな、高価な物まで頂いて・・・・・・」

「これは、俺があげた分けじゃないんだから、これとは別・・・さあ・・・いくらなんだ?」

「でも・・・ほとんどおつまみにも手を付けてらっしゃらないから・・・お勘定を頂くなんてとても・・・・・・」

「良いから、良いから・・・その代わり、次に来た時にでも、たっぷりサービスしてくれよ・・・・・・ふふ」

しばらく押し問答は続いたが、玲子が渋々と勘定を受け取ると終息した。
川端に気付かれない様に、わずかに金額を差し引いておいたのが、玲子のせめてもの心遣いだった。

「本当に、今日はありがとうございました」

しばらくして店の表で、頭を下げて川端を見送る、玲子の姿があった。

「ああ・・・今度は、ゆっくりと伺うよ」

「何だか今日は、陽一さんの事ばかりお話してしまって・・・川端さんには申し訳ない事をしてしまいました」

「ふふ・・・別に構わないよ。ママの素直な気持ちなんだから・・・それに初めてママが陽一と会った時から、何となく気付いてたんだよ。だから陽一の事、ママにお願いしてみたんだ」

「川端さん・・・・・・」

「そうだ・・・さっきの紙袋の中に手紙みたいな物が入ってたな。もしかすると・・・陽一からかもしれないぞ・・・・・・」

「嘘!?・・・私、全然気付かなかったけど・・・・・・・」

「さっき、ママが着替えてる時に見付けたんだよ」

「それでしたら・・・どうして早く教えて下さらなかったのですか?」

「ふふ・・・ママだって一人の時に読みたかっただろ?。だから、遠慮しておいたんだよ。しかし、陽一もタフだよね・・・一晩であんなにできるもんかね?」

「ちょ・・ちょっと!・・・もしかして川端さん、手紙の中身読んじゃったの!?」

「さ〜て・・・それはどうかね?・・・・・・ふふ」

「もう・・・川端さんったら、最後まで意地悪するんだから〜」

玲子は、川端が駅の方角に姿を消すのを確認すると、一目散に店の中に入っていた。

「あれ〜・・・手紙なんてどこにあるのかしら・・・もしかして川端さんにからかわれたのかしら・・・・・・」

玲子は、テーブル席に戻ると、両手で紙袋を開いて必死に覗き込んでいた。

「あれ?・・・これは何かしら?」

しばらくすると、覗き込んだ目の動きが止まり、乾燥剤の様な四角い子袋に気付いた。
玲子はそれを、恐る恐る指先でつまみ上げた。

「きゃっ・・・・・・」

その正体が何か分かると、店の他の者に気付かれない様に、声を押し殺して静かに驚いた。
その正体とは、何枚も綴られたコンドームだった。
玲子としては見慣れた物だったが、店の中で見掛けるには場違いだった。
とりあえず玲子は、コンドームを紙袋の中に戻すと、ここまでの経緯を振り返っていた。

「どうして、こんな物が紙袋に入ってたのかしら・・・もしかして川端さんのいたずら?」

・・・・・・しかし、陽一もタフだよね・・・一晩であんなにできるもんかね?・・・・・・

川端が別れ際に残した、意味あり気だった言葉を思い返していた。

「いや違う・・・あの言い草だと、川端さんもこれを見て言ったんだわ・・・・・。だとすると・・・陽一さん!?・・・陽一さんが初めから、この中に・・・・・・」

陽一が、玲子に再会を促す密かなサインだった。

「それじゃあ・・・まだ私の事を・・・・・・」

玲子にとっては、高額な十数万円もするチャイナドレスよりも、安価な数百円のコンドームの方が、何よりも嬉しい贈り物となった。
この真意に気付いた玲子は、紙袋からコンドームを握りしめて取り出すと、胸元に近づけて目を瞑りながら再会を願った。

・・・・・・陽一さん・・・逢いたい・・・・・


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