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共犯ゲーム
【SF 官能小説】

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矢崎さん-1

僕はほぼ空になった実験体Aの小瓶を持ってトデム社の研究開発部に行った。
すると驚くほど美人の女性が現れた。
僕よりちょっとお姉さんという感じのその人は矢崎さんと言ってたが、かなり立場が上の人らしかった。

「君が話題の最優秀のモニターさんね。」

いきなりそんなことを言われて僕は驚いた。僕が最優秀だなんて意外だった。

「場合によっては君には正社員になってもらう用意もしているんだよ。
ところで、君の報告でとても興味深い記述があるんだけれど、覚えているかな?
 共犯意識と言う言葉。」
「あっ、はい。もちろん。」
「君はどう思う? どうしてそういう意識状態になるのだと思う?」
「女性の胸が何かのはずみで男性の腕などに触れるとき、両方ともそのことが快いと共犯意識を持つのではないのでしょうか?
ずっと続けていたいという風に」
「ゲームという言葉も使っていたね。どうしてそう思ったのかな?」
「暗黙のルールがあって、それを破ればゲームが壊れるという意味です。
女性が仕掛けたゲームは男性が乗りやすいような形で始まります。
でも破りづらいのです。騒げば常に女性に有利だからです。」

矢崎さんは白衣を着ていたがその下には弾むような胸の膨らみがあった。
矢崎さんは僕の手を掴むと自分の胸の膨らみに当てた。そして言った。

「例えば、私が君に心臓がどきどきしているよ、ほら当てて見てと言ってこうやると、私側の論理では心臓が苦しいから見てもらっただけだという言い訳が立つ。
同時に私もこうしてもらうことが実は気持が良くて興奮するのだけれど、それは君にもわかっているかもしれないけれど表立っては口にしない。
そして君も私の胸に触ることができてその感触を楽しんでいるのだけれど、それは口に出さずに、心臓の鼓動の状態を見て私の健康状態を気遣うふりをする。
でも、実はお互いが本音の部分がわかっていて、あえて建前の部分で演技をする…そういうことかな?」
「はい…そうです。きっと今僕は同じゲームをしていると思います」

矢崎さんは僕の手を戻した。

「今度は実験体Bになるけれど…これを渡す前に聞きたいことがあるの」
「なんでしょうか?」
「同じく採用されたモニターの何人かが失敗しているのだけれど、男は女に仕掛けられたら先に進もうとするのね。
胸を触らせたのだからハグくらいは良いだろうとか、キスくらいはとか…勿論それは禁止しているのだけれど、それでだいぶ頸にしているの。
でも、君の場合は絶対そういうことがないみたいだよね。それは何故?」

僕は一瞬考える為沈黙した。でも当たり前のことを言った。

「それは胸を触らせてもらえるだけでも滅多にないことで十分嬉しいですし、それ以上望んだらすべてがぶち壊しになることを知っているからです。
Aの香水で興奮した女性は胸だけで完結する感じで別なところに発展しないような気がします。
だから違うものを男が望んでも絶対そうしてはくれません。
Aの効き目の範囲を越えてしまえば、通行人の女性に襲い掛かるのと同じだからです。」
「なるほどね。もう一つ聞いても良いかな? 
もし女性がつける香水に同じような効果のものを使ったとしたらどうなると思うかな?」

僕はまた考えた。でも、これも当たり前のことしか言わなかった。

「とても危険だと思います。
男はどんな形から入っても最後はセックスまで行かなければ気がすまないからです。
それに女性のあなたなら分かると思いますが、男がいきなり股間をあなたの体に押し付けてきたらどう思います?
相手によると思いますが、十中八九は拒否反応ですよね。」
「ふふふ…なるほどね。では実験体Bも宜しくね。

矢崎さんは新しい香水を僕に渡した。
 


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