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共犯ゲーム
【SF 官能小説】

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実験体δ(デルタ)-1

矢崎さんは僕に聞いた。

「で…その手紙の中身は何だったの?」
「ラブレターです。彼女は僕が好きになったんです。」
「じゃあ、双子が喧嘩したのは?」
「二人とも僕のことを好きだということがお互いに分かってライバル同士の戦いだったんです。」
「君を叩いて逃げた子は?」
「それも一つの愛情表現だったんです。
道端で僕をじっと見つめていた女性もみんな僕が好きになったんです。
だから実験体Cは大成功だったんです。」
「そう…でもまだ売り出しはできないな。
商品化するには効果の程が分かりづらいから。
いっそのこと使用者に対して女性が笑顔になってくれるようなタイプの方がイメージが良いのかもしれない。
うーん、これは検討事項だね。ところで君は手紙の返事はしたの?」
「はい、しました。丁寧にお断りしました。」
「そうだよね。モニターのルールを守った訳だ。
君にはわが社に正社員として迎える用意があるからね。」
「ありがとうございます。ところで実験体はA・B・Cで終わりですか?
1年の予定が3ヶ月で終わってしまったんですね。」
「いえいえ、この後AとB、BとC、CとA、AとBとCの組み合わせのテストがあるのよ。
その前にこれ実験体δ(デルタ)というのだけれど、3日間だけ使ってみて。正式な会議の決定を通していないので、こっそり私にだけ報告してほしいの。
特別手当を用意するから。その後で継続案件をお願いするわね。」

僕はその小瓶を受け取りながら、残りの期間を計算した。

「それじゃあ、後4ヶ月延長ですか?」
「その後、どんな割合にすると最適な効果が出るのかの追加検証があるから、結局1年はかかるわね。」
「でも、その後僕が採用されても、もうすることがないのでは?」

矢崎さんは笑って僕の肩を叩いた。

「大丈夫よ。実験体の香水はまだD・E・F・Gと色々なタイプがあるのよ。
例えばDは心臓がどきどきする香水だし、Eは顔が赤くなる香水なの、そしてFは胸がきゅんと苦しくなる香水でD・E・Fの混合でできたのが実験体Cなのよ。
Gは笑いたくなる香水だし、その他にも開発中のものが何千種類もあるのだから、君には休む暇はないわよ。
そのうちに究極の媚薬ω(オメガ)が完成するかもしれないし、そのときには君に最初に使ってもらうわよ。
もう少しで完成するのはキスしたくなる香水よ。きちんと毎回歯を磨いておいてね。」

そういうと矢崎さんはよく発達したヒップを白衣の下から突き上げながら歩いて行った。僕は手に握っていた小瓶を見て思った。

(3日間だけ使うことになる秘密の実験体って一体どんな効果があるんだろう?)

だが、小瓶のラベルのδ(デルタ)の文字は、何も教えてくれなかった。

                   (完)



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