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共犯ゲーム
【SF 官能小説】

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葛城さん-1

1日目、僕はコンビニのアルバイトに行った。一緒の子は女子高校生の葛城さんだった。ときどき一緒になるが、僕も彼女も必要以外のことは決して喋らない。
僕がレジにいるときは、彼女が店の方に行くといった具合にいつも離れて仕事している。交代の時間が近づいたので、レジにいた葛城さんがお金の中間集計をして売り上げ記録と照らし合わせていた。

「お願いします」

葛城さんが僕に言ったので僕はレジに入るため、彼女が出て行くのを待った。
いつもは彼女がレジから出てから僕がレジに入るのだ。
すれ違うのを避けているのがわかるから、僕は僕なりに気を使っている積もりだ。
だが、何故か彼女は出て行こうとしないので、仕方なく僕はレジに入った。

「いいかい?」

僕はレジを指さしてから自分を指さした。
彼女はレジのことを気にしていたようだが
頷くと僕とすれ違った。
そのときレジの方を見ながらすれ違ったせいか彼女は僕の腕に自分の胸を擦りつけて行った。
僕は気がつかない振りをした。
それが一番無難だからだ。
だが、すれ違って触れたときの彼女の胸の柔らかい感触が余韻として腕に残った。

「えーっと、売り上げは…ふうん、うん。そして現金は…」

僕は葛城さんがしたように売り上げ額と現金を照らし合わせる為に札から順番に数えた。するとその最中に葛城さんが近づいて来た。
僕が数えるのを左側から覗き込むようにしたので、右の乳房が僕の左の肘に当たった。僕は必死に気づかないふりをして数えた。

「売上額間違ってませんでしたか?
私が確かめたからって安心されると責任が私だけにかかってしまうと困るので」

何か彼女は無理に話題を作って、僕に胸を押し付けていることに気づかない振りをしているように思えた。
これは一種の共犯心理のような感じだ。
二人はあくまで業務上の話をしている、そこでたまたま胸が触れた。
でもそのことに二人は気づいていない。
そんな馬鹿なことは決してありえない。
でも葛城さんは僕に胸を押し付けたまま、ちゃんと数えてくださいとか文句を言っている。
そんなこと今まで言ったこともないのにである。
僕はこの彼女が仕掛けたゲームにあくまで無意識を装って乗るしかなかった。

「えーと札は・・・だから、次はダラ銭でっと・・・」

僕が小銭を掴んだりするとき左の肘が動く。
そうすると彼女の胸の膨らみのテッペンの辺りをぐりっと揉むことになる。
僕はそんなこと全然気づいていない振りを続けて、彼女も気づかない振りをして、うん間違いないですね、とか合いの手を入れる。
でも黙っているときちょっと荒い乱れた鼻息が聞こえる。
もしかしてこのゲームで興奮しているのかもしれない。
それは僕とて同じだが、それを口に出しては言えない。
胸が当たっているよとかそんなことも言ってはいけない。
言えば恐ろしいことがおきそうな気がする。
大人しそうな彼女が急に凶暴になったりヒステリックになって僕を攻撃しそうな気がしたからだ。
つまり自分が仕掛けたゲームが続いていて平和に終われば良いが、相手にそれを壊されたとき、一気にゲームを壊した者への攻撃になるのだという危機感が僕にはあった。
もしこれが逆の立場でもそうだと思う。
僕は彼女のゲームに乗っていたが、急に彼女が壊したら、きっと僕は噛み付くに違いない。
もし、彼女が……こう言ったらぶち壊しになる。

『あなた、さっきから私の胸が触ってるのに知らん振りしてたよね。実はどれだけHか試してみたの』

でも、それは最後までなかった。
僕は葛城さんに言った。

「うん、やっぱり間違いなかったよ。
後は交代が来るまで床掃除でもしているよ」

僕はそう言うと静かに彼女から離れて店の方に移った。
そしてモップで床を磨きながら腕に残った彼女の乳房の感覚を反芻した。
僕はあったことを正直に報告した。


その後、コンビニのアルバイトで葛城さんはときどきこのゲームを仕掛けてきた。
けれどもこれがさらに進展して行くとかそういうことは一切なかった。
僕としてもそうはならないように心がけた。そして、これに僕は慣れるようにした。
決して慣れることはできない筈のことだが……。
 


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