投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

共犯ゲーム
【SF 官能小説】

共犯ゲームの最初へ 共犯ゲーム 2 共犯ゲーム 4 共犯ゲームの最後へ

最終試験-1

飲み物とお弁当を売りに来たおばさんがいた。
きっと会社に頼まれた弁当屋さんだろう。
僕は支給された1000円札を出した。
おばさんは飲み物と弁当を渡すと、お釣りをよこした。
ところが100円玉が1個多かった。
僕はおつりが多いですよと言って返した。おばさんはにっこり笑って受け取った。
どんな些細なことでも僕はその都度報告した。
気をつけたことは、女性の服装や年齢の特徴をわかりやすく言うことだ。
観察すると、必ず分かりやすい特徴があり、同じ特徴の女性はいなかったということだ。ツイン・テールの髪形は1人しかいなかったし。
チェック柄のスカートも1人しかいなかった。
ある女性はクリーム色のツーピースだったし。
ある女性は花柄刺繍のジーパンにパーカーだった。
女子高校生の3人組は制服が同じだったが、それ以外に同じ制服の子には話しかけられなかった。
つまり、きちんと観察すれば報告しやすいような格好をしてきているのだ。
また、報告を受ける方もどんな女性だったのか確認しやすいような特徴を持っているのだ。
始まって3時間ほどで試験の終了の知らせが来た。
これは予想外だったが、僕はある程度の手ごたえを感じてはいた。
でも同時に、僕は採用はされないだろうと思っていた。
数百人の中から選ばれた20人でいられたというだけでも、僕は嬉しかった。
僕の考えはこうだ。
僕たちが配られた香水はただの水ではないかということだ。
僕は口の中にこっそり吹きかけてみたが、水以外には考えられない味だった。
無臭でも香水なら、なんら変わった味がするはずだ。
そして、話しかけた女性達はみんなエキストラだということ。
彼らは20人の受験者に平等に話しかけたのだ。
だから、受験者が本物の香水の効果だと思って有頂天になっていると、報告のいい加減さが必ず出て来る。
または綺麗な女性に誘われてほいほいついて行き持ち場を離れたならその時点で不採用になる。
企業側はどんな女性が受験者に話しかけたか把握しているので、報告が正確かどうか公平に判断できるという訳だ。
僕は弁当を売りに来たおばさんも、わざとお釣りを間違えたと思う。
そうやって受験者がどう反応するか見たのかもしれない。
きっと、エキストラの女性達はすべて受験者たちがどう対応してきたか、事細かに別途報告しているに違いないのだ。
僕はこの仮説をもとに、話しかけて来る女性のすべてが面接官だと思って対応したのだ。

そして僕は採用通知を受け取って、もちろん嬉しかった。
僕の仮説がきっと正しかったのだと確信した。
これだけ大掛かりな選抜テストを行うということは、モニターに対して企業側の期待がかなり大きいのだと思った。
指定された日に行くと僕は一本の香水を与えられた。
普段と同じ生活をするのが基本だが、必ず一日に数時間は人と触れ合う時間を過ごすようにすることが条件だった。
そして女性が自分に対していつもと違う態度で接したりしてきたとき、または女性に話しかけられたときなどをその都度報告するように言われた。
そして難しいことに、決してその女性と特別な関係に発展してはいけないということだった。
但しアルバイトなどは行っても良いと言われたのでそれはラッキーだった。
アルバイトのダブルブッキングもOKだというのだから、経済的に非常に助かるのだ。
最初に配られた香水は実験体Aという名前だった。
その効果については詳しくは説明されなかった。
先入観なしで実験に臨んでもらいたいということなのだろう。 
 


共犯ゲームの最初へ 共犯ゲーム 2 共犯ゲーム 4 共犯ゲームの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前