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共犯ゲーム
【SF 官能小説】

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化粧品モニター-2

会場に担当者が出て来て説明した。

「最終試験は街頭面接になります。
あなた達は若い人たちが沢山集まる繁華街の20箇所に8時間別々に立っていてもらいます。
そのときには配られている番号バッジを左胸につけて下さい。
また、あなたたちには当社が開発した女性を惹きつける成分の入った無臭香水を配りますので、1時間ごとに一吹きだけ自分の衣服にかけてください。
天気が良いので成分が蒸発しやすくなっていますから忘れないでください。
この試験にはきちんと時間分のお手当てを出しますので、結果不採用になってもその分は保障致します。
飲み物食事については係員が販売に行きますが、その代金に相当するお金は予めお渡し致します。
買いたくなかったら使わずに自分のものにしても構いません。
トイレについては指定したところに電話をかけて知らせてください。
携帯は支給しますのでそれを使って下さい。
試験内容は異性に話しかけられたら、その後でどんな相手でどんな内容だったか電話ですぐに知らせてください。
それが幼児でもお婆さんでも必ず知らせてください。
また禁止事項があります。
話しかけられたときは誠実に答えてもらいますが、必要以上に話を長引かせないこと。
決して相手の連絡先を聞くなどの行為に及ばないこと。
もし知り合いに話しかけられたら仕事中なので今は話せないと断ること。
そして、これが一番大事なことですが、持ち場を離れないこと。
持ち場を離れた時点で不採用が決定します。
何か質問はありますか?」

皆は誰も質問しなかった。
僕は何の為にこんなことをするのか予想した。
僕はもてない男の典型だ。
そして多くの男は異性に恵まれない。
もてる男は少数派だ。
逆に言うともてない男は多数派であり、化粧品会社としては格好の市場と言える。
だから、女性を惹きつける香水を開発して、その効果を見たいのだ。
それには、香水の効果を見る為に、女性から話しかけられたことがない僕のような男が貴重な実験体なのだ。
もてる男だと果たして本人の魅力なのか香水の効果なのか見分けられないからだ。
だが、僕はあることに気がついた。
確かこれは正式なモニターを選ぶ為の選抜試験なのだ。
それなのに実際の香水を使って実験するのには、どういう意味があるのだろう?
それはきっと報告の仕方などを見るために、そうしているのだろう。
企業側が求めているような正確な情報をできるかどうかとか、観察力の鋭さを見る為とかそんなところだろう。
でも、待てよ? 
正確な報告をしているかどうかは、どう判定し、どう採点するのだろう?
 公平な採点をするためには、企業側がどんな女性が受験者に話しかけたかを把握していなければならない。
しかも、どの受験者にも平等な条件の下で採点する為には、話しかける女性の数とか質がある程度揃っていなければならない。
とすれば…と、僕はそこでわかってしまった。
というか、わかったような気になった。
僕が企業側の立場だったら、きっとこうするだろう…という、ある考えを思いついたのだ。
僕は街頭に立つと、あることを確かめた。
そして、確信を強めた。
それから10分おきとか20分おきに色々な女性が話しかけて来た。
お婆さんもいれば小学生の女の子もいた。
女子高生のグループもいれば、OLさんもいる。
おばさんや幼稚園の女の子。主婦やヤンキー風の女の子。
さまざまな女性がさまざまなことを話しかけて来た。
僕はなるべく記憶できる範囲の会話ですませた。
天気のことを話しかけられたり、道を聞かれたり、お茶に誘われたり、迷子になったと泣きつかれたり、けれどもにこやかに応対し、ここを離れる訳にはいかないと謝って、さまざまな誘惑を丁寧に断った。
常に礼儀正しく振舞った。
  


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