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檻の中
【熟女/人妻 官能小説】

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第12章-1

―どうしよう。凄く疲れていると言って紘一郎と創には店屋物にしてもらおうか。沙良が疲れているなどと言うのは珍しいことだ。二人の反応から何がしか探れるかも知れぬ。
意を決して紘一郎と創にメールをした。
先に帰宅したのは創だった。
勢い込んで階段を上がって創は沙良の部屋をノックすると、『どうぞ』の声を待って顔だけ覗かせた。『さーちゃん、どうしたの?熱中症?』
『ううん…ただの疲れだと思う。ごめんね。買出しに行く気力が無くて…寝てたら結構楽にはなって来たんだけど…』疲れているのは本当だから不自然であろうはずもない。
『何か飲む?持ってくるよ』と創が心配そうに重ねて訊く。
『有難う。…そうだな…。麦茶がほしいかな…』沙良がそう力なく答えると
創は『おっけー』とドアを閉め、たったったったと足音を響かせて階下に向うと、ほどなくして再度ノックの音がする。
『入って、いい?』
『もちろん』苦笑しながら沙良が答える。何だろう。やけに不自然な質問のような気がする…。疚しいことがなかったらそんな風に訊くかしら…?暗くなりそうな表情を動かさぬようにして創を招きいれた。創は沙良の書斎椅子を転がしてベッドサイドまで持ってきて腰掛けると、魔法瓶に入れた麦茶からグラスに注ぐと、沙良に手渡した。
こくこく美味しそうに飲み干す沙良を見つめ『やっぱ外の仕事、こたえてるんじゃない?』
暗い顔でそう言った。
『うん…かもね。それに今回は半期に一度の決算も重なったから…』最後の一言を聞いた時の創の表情を見たくて敢えて決算の話を持ち出してみた。すると、創の顔が一瞬強ばった。…ような気がした。その反応に沙良は奈落の底に突き落とされたような気持ちになった。この子だったのか…?探偵事務所への依頼はどうしよう。沙良は混乱して口をつぐんでしまう。
『ごめん。創くん、ちょっと横になりたいから…』そう沙良が告げると、創は『あ、ごめん、ごめんね。』慌てて椅子を元に戻し、部屋を出て行った。
誰の仕業か判ったからと言って別に訴えるつもりはない。それにそれが創だったとしたら何か自分にも落ち度があるのかも知れない。でも自分に非があるとは言え、もし本当に創だったら…その時は…沙良はしばらく立ち直れそうにはなかった。―どこまで私って情けないんだろう…。思わず自嘲気味に沙良は呟いて布団を被った。
がちゃ。ノックもせずに部屋のドアが開けられた。紘一郎だった。
『どうしたんだ。具合は?』
『ええ…紘一郎さん。すみません。ちょっと今日外出しようとしたらめまいを起こしてしまって…買出し出来なくて…』気だるそうに体を起こそうとすると、紘一郎は『いいから。寝てなさい。創くんと相談して適当に頼むから。沙良は?どうする?』
『食欲が出たら有り合わせで適当に作ります…』力なくそう言うと、紘一郎は『そうか。じゃ寝ていなさい』と部屋を出て行った。


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