ありすの日常1-1
「おはよう。ありすちゃん」
ありすが、席に着くと隣の席の工藤由美が、挨拶をしてきた。ショートヘアーのボーイッシュな女の子だ。
「おはよう、由美ちゃん」
「宮の森さんと同伴登校だったみたいだったけど。いつの間に、親しくなったの?」
「同伴って、由美ちゃん……。、今朝、登校途中でちょっと、いろいろ、あって」
由美は、自分の席を立ち上がり、ありすの耳元で、ささやく。
「察するに、今朝のとあるシティバンク とある市支店の、銀行強盗事件でしょ?」
「相変わらず。情報早いね。まだ、報道もされてないでしょ?」
「そりゃ、5分前に犯人が、逮捕されたばかりだもん。今頃、銀行にジャーナリストが、到着したころでしょね」
「私たちが、銀行をはなれたのは、20分前だよ。非常ベルからは、30分立ってる。警察さん、遅い」
「面目ない」由美は、恥ずかしそうに、頭をかく。
「何で、由美ちゃんが、謝るの?」
「なんとなく」
「で?」
「ん?」
「本題は、別に、あるんでしょ?」
「さすがにかんが、いいね」
由美は、携帯を取り出すと、画像を出してありすに、見せる。そこには、長い髪の金髪の妖艶な美女が、映し出されていた。
「このお姉さんは?」
「カミーラ・ドルベーク」
「きれいな人だね」
「御年157歳」
「え? それって……」
「そう、魔法使い」
「で、この人が、なにか?」
「CIAのブラックリストのトップに、名を連ねてる」
「え? こんなきれいな、お姉さんが?」
「黒魔術に、のめり込んで、そうと、やばいことやらかしたらしい」
「やらかした?」
「母国では、指名手配中で、国外逃亡」
「で、日本に?」
「そう……」
「で、所在は?」
「わかっていたら、逮捕してるよ」
「だよね」
「面目ない」
「由美ちゃんのせいじゃないでしょ」
「相手は、魔法使い。いちお、ありすちゃんの耳にも入れておいたほうが、いいかなと思って」
「ありがとう、もし、なんか、わかったら、こっちで、対処しちゃっていい?」
「できれば、連絡頂戴。国際指名手配で協力要請が、来てるの。消息不明とかなると、外交問題になりかねないから」