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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨7¨-4

「あーーすっきりしたー!」
「ふ、ふふ・・・たいした事は無かったな・・・」


元気を取り戻したあたしとは違い、足元がふらついている速人。

「つ、次はどこに行く?お前の好きなところでいいぞ」
「じゃあねぇ・・・あそこ!」

今度は向こうの直下型の絶叫マシンを指差した。
すると速人は一瞬だけ表情を曇らせたけど、すぐに笑顔に戻る。
でも、なんだか引きつってる様に見えるのは気のせいかな?

「決めたらさっさと行くぞ。弥生」
「・・・あっ」
「何だよ、変な声出して。どっか痛いのか」

また、手を握られた・・・
速人は何とも無いの、あたしの手を握っても。
あたしは・・・さっきからドキドキしてるんだけど・・・

今日の速人はなんかおかしい。
いつもの悪ふざけは、全く無いって事は無いけどあまり無くて大人しいし。
・・・だから、妙に意識しちゃうんだ。

まさかこれって速人の作戦なのかな。
あたしにその気にさせる為に猫を被ってるとか。やりそうだね、意外と器用だし。


「いやいや楽しみだなぁ、なあ弥生。すとーんといくんだからな!あっという間だぜ」
「もうすぐ頂上だよ・・・やっぱ高いね、人が蟻みたい」


程なくしてマシンが急降下を始めて・・・


「きゃああああああ・・・・・・・!!!」
「うわあああああああああああああ!!!」


僅か十数秒で地上に達した。
ジェットコースターに比べて時間は短かったけど・・・ショックはこっちの方が断然大きかったみたい。

「はあ、はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

好きなあたしですら呆然として動けない。
速人は大丈夫かな?怖さのあまりおもらししてなければいいけど・・・

マシンから自分で降りる事はできたけど、意識が朦朧としてるらしく足取りが覚束ない。


「大丈夫?」
「楽勝だって!!さあ次、次だよ!」


なんだか行き急いでるみたいに見える。でも、どこか頼もしくも見えるのはどうしてかな。
やば、さっきからドキドキしっぱなしなんだけど・・・

「じゃあ次はコーヒーカップに乗りたいな」
「そんな大人しいのでいいのか?」
「うん、休憩。さっ・・・いこっか!」

連続で絶叫系だったから一旦落ち着くために、コーヒーカップを選んだ。
それもあったけど、速人に落ち着いて欲しかったから。
無理してる、とまではいかないけどちょっと辛そうだし。

普通の子なら遠慮するんだろうけど、あたしはそういうとこが気が利かないから・・・我が儘なんだよね。
好きな事に関しては相手より自分を優先させるとこがある。


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