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シグナル
【青春 恋愛小説】

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シグナル¨7¨-3

・・・もしかして、ちょっと期待しちゃってる?

「なに固まってんだ。もたもたしてっと置いてくぞ」
「あっ、ああ、今のヒントがおかしいって思ってたの。遊園地じゃなくて・・・」


いつもの駅から3つ行った所で降りると、その場所から観覧車やジェットコースターが見えた。
知らなかった、こんな近いところに遊園地があったんだ。

「あんたよく見つけたね、どうやって知ったの」
「前に偶然この駅で降りたら見つけたんだ」

普通だ、普通の答えだ。
気取った台詞が返ってくるのかと思ったら、何の変哲も無くて拍子抜けした。
でもいつもの調子でも鬱陶しいので、そうならなくて良かったという安心の方が大きかった。


「最初はどれに乗りたい」

地図を広げて見せてくる。
でもあたしは、どんな乗り物があるのかより、速人の方が気になってたらしい。
俺のカオになにかついてるのかと聞かれて気付いた。

「あっ、うん、じゃあ・・・最初だし、ジェットコースターいこっか」
「いきなりかよ、初っぱなからとばすなぁ。まあいっか、嫌いじゃねえし。お前は大丈夫なのか?」
「平気よ。あんたこそびびって泣かないでね」
「そうと決まりゃあ早速!」

速人に手を握られ、目的地まで歩いていく。
絶叫マシンは好きだけど特に乗りたいわけでは無かった。
ただ、目に入ったものを口にしただけ。

・・・何やってんだろ、あたし。さっきからやけに普通の速人が気になって、なんか集中できてない。
せっかく遊びに誘ってくれたんだしもっと楽しまなきゃ損だよ。

平日だったせいかあまり並ばずに済んで、すぐに乗る事が出来た。

「なあ、弥生」
「どうしたの?まさか今さら怖気付いた、とか?」
「楽しみだな。あの急降下する時の下半身がむず痒くなる感覚がたまらない」
「そうだね。もうすぐ・・・味わえるよ」

空が見えた、と思った瞬間一気に・・・!

「きゃああああああ!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ」「ひぃぃぃぃぃぃぃ」
「あああああああああああ!!」

急降下するマシンの乗客達の絶叫が谺している。
その中にあたしの声も混ざって、マシンが角度を変える度に叫び声が後ろからも前からも聞こえてきた。
杏子も遥も絶叫系は苦手だって言ってたけど、あたしはいまいちその気持ちが分からなかった。
だって、普段は味わえない世界にトリップ出来るんだよ。凄いと思わない?

道歩いてて叫ぶ事なんてまずないし、かなり刺激的な体験が出来るからあたしは大好きだった。
さっきは乗り気じゃなかったけど、もう既に夢中で叫び続けていた。
特に最近はもやもやしてたし、ストレス解消には丁度いい。



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