シグナル¨4¨-3
(ちょっと前の速人も同じ気持ちだったのかな。はあ、なんか苦しい、ため息ばかり出る)
それはできそうに無い。
僕は速人みたいに器用じゃないし、賢司の様に決断力がある訳じゃない。
やろうとしても難しい事だ。
普通に接してメールでにやにやするのが精一杯だし、その方がいいと思う。
妹尾さんは、友達だ。
強引にいって嫌われちゃったら意味ないから・・・
〜(Haruka's Side)〜
「お疲れ様でしたー」
「気を付けてね遥ちゃん」
今日は朝からバイトでもうくたくただった。
夏休みに入って学校の方に余裕が出来たから、こっちの方も頑張らなくちゃと思って、ちょっと働きすぎたみたい。
入学して少ししてから始めて、そろそろ体も慣れてきたと思ってたけど・・・
やっぱりお姉ちゃんの言うとおり学校との両立は大変だった。
それでも高校生の時もやってたから、思ったよりはきつくなかった。
「あーお腹空いたー。早く帰って食べよ」
バイトするなら食べ物系。
ご飯を貰えば食費が浮くし、自分で作らなくて済む。
出費と手間が省けて一石二鳥。
お姉ちゃんのアドバイスは、いつも私を助けてくれる。
「もう7時かぁ」
バイト先のお弁当屋を出て、時計を見たらいい時間だった。
今日は開店前から居たから本当に頑張ったんだね。
すっかり手に油の匂いが染み付いちゃったよ。
「遥ぁ!おーい!」
向かいのコンビニで私に向かって手を振ってる弥生を見つけた。杏子も並んで手を振ってる。
「お疲れ様、遥。今日はずっとバイトだったの?」
「うん、みっちりやった。2人は何してたの」
「速人に勉強教えてた」
「賢司くんにおしゃれ指南してた」
てっきり学校にいるのかと思ってたけど、2人とも・・・
私が唐揚げを必死になって揚げてる間に、楽しくやってたのね。なんか・・・
「もー大変だよ、速人って本当にアホなんだよね。よくうちに入学できたよ」
「賢司くん体おっきいから、せっかくいい服あってもサイズが無いの。ちょっと痩せなきゃだめだよね」
弥生も杏子も、それぞれ2人だけでいたって事だよね。
ずっと固まって行動してると思ってたけど、いったいいつの間に誘ったんだろう。
男の子達がいないところでは前から付き合うなら誰、みたいな話はしてた。