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イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

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イジメテアゲル!-48

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 二人が登校する頃には既に夏休みの諸注意やプリントの配布が終わっていた。
 英助は電車で一緒になった由美が貧血を起こしたので付き添っていたと言い訳をすると、担任は「もう少し早く報告するように」というと、それ以上は追求しなかった。
 その代わり、遅刻の罰として視聴覚室の掃除を仰せつかった。
「うっふふぅ……、英助君と一緒にお掃除、嬉しいですぅ!」
 鼻歌交じりで箒を振り回す由美は、掃除をするというより散らかすというほうが近い。
「おい白河、それじゃいつまでたっても終わらないぞ。真面目にやってくれ」
「えー、だってぇ、そしたら一緒にいられるじゃないですかぁ」
 にんまり笑顔で返されると、続く言葉が喉につっかえる。
「そっか、白河は視聴覚室がお好みか。夏だし海とか行こうかと思ってたけど、白河は一人学校で掃除か……、仕方ないミーさんでも誘うかな」
「そんなのダメー。私、がんばりますから、英助君、海に行きましょう!」
 由美は急に真面目な顔つきになると、かいがいしく働き始める。現金な彼女の様子に苦笑いをしつつも、海に行くのも悪くないと思い始める英助は、思わず口元を緩めてしまう。
「あー、英助君も真面目にやってくださいですぅ!」
 すっかり立場が逆になってしまい、英助も急かされるままモップで床を磨く。
「これが終わったら夏休み、そしたら英助君と海でデート、そんでそんで……キャー」
 妄想を膨らませながら長机をヨチヨチと運ぶ由美は、放り出していた箒に足を取られてしまう。しかし、すんでのところで英助が背後からしっかりと抱きとめる。
「危ないよ。今はしっかり掃除に集中して……」
「はわわぁ……、私また病気がぶり返しちゃったかも……」
「今はダメ。ここは学校なんだよ?」
「でも、ここなら防音も完璧ですし、鍵だって……」
「……開いてるわよ?」
 凛とした声が室内に響く。煩そうに髪をかきあげ、半ば呆れた視線が二人を刺す。
「手を出さないとかいっておいて、しっかり握ってるじゃないの……」
 どす黒い感情に塗れた低い声が続く。千恵は握りこぶしを固め、わなわなと震える。
「終業式も終わった頃に仲良く登校。視聴覚室で仲睦まじく見つめあう……」
 からかうような声は多香子のもの。彼女は二人に近づくと鼻をひくつかせる。
「な、何? 多香子ちゃん」
「由美姫、大人になられましたな?」
 かくも恭しく言う多香子に、英助は一瞬で沸騰してしまう。それでもカマをかけられているだけと一縷の望みを捨てきれず、白を切る。
 個室での交歓のあと、場所が場所だけにしっかり消臭スプレーを噴霧した。動揺しなければ、いくら多香子でも……、
「女もののスプレーを進藤が使ってたら妖しいに決まってるだろ? もう少し考えろよ」
 思わず裾の匂いを嗅いでしまう。普段使うことが無いフローラルな香りが漂い、逆に証拠を残していたおろかさに気付く。
「まったく、英助って誰でもいいのね……」
「ミーさん、そういうわけじゃなくて……」
 今更弁解できる言葉などなく、そもそも弁解の必要も無い。しかし、長年培ってきた彼女との力関係が言い訳をさせる。
「なにが違うだ、この嘘つきやろー!」
 それを中断させたのは千恵の張り手。体格のわりにもやしな英助は床に投げ出される。
「由美、進藤にひどいことされたの? 無理矢理でしょ? 無理矢理なのね? もう許せないわ、この痴漢野郎!」
 勢いよく捲し立て、都合の良い方向に話を進めようとする千恵。しかし、由美は彼女をなだめるように撫でる。


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