投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

イジメテアゲル!の最初へ イジメテアゲル! 48 イジメテアゲル! 50 イジメテアゲル!の最後へ

イジメテアゲル!-49

「おちついて千恵ちゃん。英助君は痴漢なんかしてないよ。それどころか私のことを助けてくれたの。それで、その、好きになっちゃった……キャー、言っちゃった」
 一人頬を染め盛り上る由美に対し、千恵はがっくりと肩を落とし、他二人は苦笑ついでに頬をぽりぽりと掻く。
「あー、あのな由美姫。こういっちゃあれだけど、みんな知ってるよ。認めたくない奴もいるみたいだけどな」
「え、そうなの? だって、私……」
「うん、まぁその、知ってて黙ってた? みたいなね……。つかバレバレだし」
 一大決心の告白のつもりが、美奈はつまらなそうな視線を返し、多香子は半笑い。唯一驚いているのは千恵だけで、彼女は由美よりも英助にくってかかる。
「おい、進藤、どうしてくれるんだ。あたしゃ失恋だよ。もうこうなったらお前が責任取れ」
「責任ってなんだよ」
「前に約束したろ。アタシのことを好きになれ!」
 千恵は英助の襟首を掴み、彼の胸元を揺さぶりながら叫ぶ。
 約束という言葉で、ようやく音楽室でのことを思い出す。千恵を慰めるつもりの口約束のはずが、軽はずみであったと後悔できる。
「だめー、英助君は私の彼氏だもん!」
 すると今度は由美が英助の腕に身体を絡ませ、引っ張り始める。
「二人とも何を言ってるのかしら? 英助は私と会ったころから私のモノになると決まっているのよ? ねぇ英助」
 美奈は英助の顎に手を当て、「ね? そうでしょ」と呟く。いつに無く優しい瞳で見下ろされると、考え無しに頷いてしまいそうになる。
「はいはい三人とも落ち着きましょうね」
 見かねた多香子は大きく手を叩く。
「発情期の牝猫じゃあるまいし、恥じらいをもちましょうね?」
「な、貴方に言われたくないわ」
「そうよ、多香子は関係ないじゃない、口出ししないで!」
 美奈と千恵は口々にさえずるが、多香子は動じず平然と呟く。
「跳び箱の下、由美のロッカー」
「「はい、申し訳ありません」」
 魔法の言葉にぎくりとする千恵と美奈は、英助から身体を離し正座する。
「どうしたの? 二人とも?」
 一人訳の分からない由美は首を傾げるが、二人に倣いチョコンと正座する。
「さて、お三方が進藤にどんな気持ちを抱いているのはよくわかりました」
「なんで茜沢が仕切るんだよ」
「そこ、無駄口を叩かない!」
 納得のいかない英助がぼやくと、多香子が睨みを利かせる。
「……でもね、一番大切なのは、進藤が誰を好きかってことだと思うの。だってそうでしょ、進藤にも選ぶ権利があるんだし」
 比較的まともな提案に一同うんうんと頷く。それに気を良くしたのか、胸を張って鼻を鳴らす。
「それで、進藤は誰を選ぶ?」
「へ? あ、そっか、それは……」
 選ぶ権利がいつの間にか選ぶ義務に変わっていた。
 幼馴染で高飛車なものの、自分にのみ本心を語ってくれる美奈。
 幼くもしたたかで、思わず守ってあげたくなる小悪魔的な可愛らしさを誇る由美。
 恋愛感情とは遠いが、報われぬ感情を知り、なおかつ止めを刺してしまったうしろめたさのある千恵。
 頭の中を巡る彼女達との交歓の記憶。英助は贅沢な悩みを抱え込む。
「選べない……わけね? まぁしょうがないんじゃない? こんなに可愛らしい子が一度に三人も告ってきたんだし、進藤だって、それなりに青春を楽しみたいだろうからね」
「えぇ、まぁ、はい、そうですね」
 やけに話の分かる多香子を不審に思いながらも、この状況を打開できるかもと相槌を打つ。
「そこで提案するのは、ここは一つ、お三方とはお友達という形でお付き合いをするのはどうでしょう? 今のままじゃ一日の長がある美奈だけが有利だし、それじゃ千恵が可哀想じゃない?」
「まぁ、そうかもね……、でも、英助は結局私を選ぶんだから、意味無いと思うけど?」
「そんなことないもん、私だって負けないんだから!」
 自慢の黒髪をなびかせ、つんと澄ました顔の美奈に、由美は顔を真っ赤にしてムキになる。千恵はというとモジモジと手をもみながら「がんばろうかな」と呟いている。


イジメテアゲル!の最初へ イジメテアゲル! 48 イジメテアゲル! 50 イジメテアゲル!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前