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イジメテアゲル!
【学園物 官能小説】

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イジメテアゲル!-50

「納得? それじゃあ三人はモラトリアム期間として、これからは抜け駆け禁止ね? いい?」
「うん」
 はにかむように千恵。
「ま、しょがないわね」
 澄ました様子で美奈。
「はーい」
 元気よく由美。
 三人の快諾に多香子はうんうんと頷くと、英助に歩み寄り、彼の隣に座るとその腕に絡みつく。
「ちょっと多香子、何のつもりかしら?」
「何か問題でも? ただのお友達のミーさん」
「問題って、普通このタイミングでいちゃつくかしら? そもそも貴方が言い出したことじゃない、友達同士で抜け駆けなしって!」
「アタシは進藤と恋人同士になりたいわけじゃないの。それに、進藤も若いんだから、溜まっちゃってしょうがないでしょ? だから、アタシが抜いてあげるってだけ。いわゆるセフレ?」
 悪びれる様子もなく言い放つ多香子に、さすがの美奈も言葉を失う。
「……ねぇ千恵ちゃん、セフレってなぁに? お金持ちのこと?」
「それはセレブ。セフレっていうのは……」
「そんなのダメに決まってるでしょ! だいいち貴方彼氏はどうしたのよ!」
「あら、あんなのもう別れちゃったわ。だからぁ、英助ので慰めてほしいなーなんて」
「そんな破廉恥な関係許せるはずないでしょ! 英助もでれでれしない! さっさとはなれる!」
 美奈は英助にしがみ付く多香子を引き離そうと必死になるが、体育会系と文系の差なのか、埒が明かない。
「んもう、二人とも見てないで手伝ってよ!」
「はーい」
 しかし、由美は何を思ったのか、多香子と反対の腕を取って頬ずりを始める。
「ちょっと、由美、今はそういう場合じゃ」
「だって英助君を多香子ちゃんに独り占めされるのやだもん!」
「あーもー、千恵、貴方は……」
 頼みの綱の千恵も目の前の痴態にそわそわし始める。嫌な予感がする美奈だが、
「あ、アタシも、いいかな、進藤」
 千恵は「えい」と呟き、英助の胸に飛び込む。
「嫌かな……、進藤は」
「あ、いや、そうじゃないけど……」
 いつもの気の強そうな雰囲気が削がれた、甘える猫のような千恵に、英助は拒むことができない。
「まったく、英助も男の子だもんね……しょうがない、私の魅力で目を覚まさせますか」
 美奈は立ち上がると、英助の背後に立ち、後ろから抱きしめる。
 自慢の長髪で英助の頬を擽り、顎をくいっとあげ、視線を独占する。
「英助は……、私だけ見ていればいいのよ? 分かった? 返事は?」
「は、はい……」
「ダメ、英助君は私のことを守ってくれなきゃダメですぅ!」
 腕をぎゅっと掴まれ、せがまれると庇護欲がそそられる。
「うん、分かったよ」
「二人にはかなわないけどさ、アタシだって結構本気だよ、だから、ちょっとぐらいは振り向いてくれないかな?」
 胸元では千恵は切ない声で呟く。かける言葉は見つからないのに、邪な気持ちを具現する手が彼女の髪を撫でる。
「ふふふ、ほんと優柔不断だよな、進藤ってさ。こんな面倒臭そうな子たちを相手にするより、アタシと楽しもうよ?」
 豊満な胸元を肘に当てられると、男の部分が刺激される。
「ん? んぅ? ……進藤、反応してる?」
 千恵が驚いたように言うと、三人は頬を染める。
「もう、節操なし!」
 そういいながらもテントの中央を凝視する美奈。
「大変、私が手当てしてあげますぅ!」
 千恵を押しのけて股間を弄ろうとする由美。
「子供の相手より、アタシと遊ぼうよ……」
 それを制すのは多香子の長い指。
「あ、あの、えっと、あーそうだ! 急用を思い出した!」
 突然大声を上げる英助に四人は呆気に取られる。その隙に彼は脱兎のごとく囲いを抜ける。
「ちょっと英助、どこに行くの、待ちなさい」
 据え膳食わぬはなんとやら、一方で毒をくらわば皿まで。ただ、それは優柔不断な彼には荷の重い選択。そもそもお友達から再出発という約束は何処にいったのか?
 ――これだったらいじめられていた頃の方が良かったよ……。
 焼きそばパンを買いに走らされていた日々を懐かしく思う英助であった……。

イジメテアゲル 完


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