イジメテアゲル!-34
「茜沢、ミーさんだけ責めるなよ。俺も知ってて黙ってたんだし、同罪だよ」
誰の顔も見ることが出来ず、ただ頭を下げる。
「英助は殊勝だこと。さて、美奈は謝ってくれないのかしら?」
「謝るつもりなんてありませんわ。私は悪いことしてませんもの」
「意地っ張りな洗濯板だこと。そんなんじゃいくら英助だって逃げてくよ」
「英助は私を裏切ったりしないわ」
「そう? 現にあたしとしちゃったじゃない? それに、男って初めての女を忘れないものよ?」
多香子は一指しを舐め、ねっとりと唾液をつけて首をもたげたままの亀頭に付ける。
「あたしが先にツバつけちゃったし……」
卑猥なジョークに背筋ごと凍る。
「……英助はそんなことないもん。何時だって私の……」
「そんなに大事なら奪い返してみなよ。ミーさん」
多香子は棒立ちの英助の背中をドンと押す。そのぞんざいな扱いに、人の良い英助もムッとしてしまう。
「さっきから人のこと、猫の子じゃないんだし、誰のものとかそういうの……」
ワイシャツ越しに手が回る。おずおずとした手は探るように彼のわき腹を這い回り、やがてオヘソの前で交差する。
「ミー……さん?」
「英助は渡せない……。だって、私の大切な人だもん……」
「ふーん、やっと素直になったの。でも愛しの彼はあたしと楽しい思い出を……」
「そんなの忘れさせてあげる……ね、英助」
白い手がワイシャツを剥いでいく。ザサリという衣擦れの音ともに床に落ちる。そしてもう一つ音が重なる。
それがスカートだと気付いたのは、彼女の柔らかい太腿に手が誘われたとき。
「私の身体……どう?」
太腿に導かれた手が徐々に内側に滑る。ブラウス越しの膨らみと、肩に立てられる爪を感じる。
「そんなに焦らなくたって……」
「ダメ。だって私も忘れたいもの……」
解いたリボンを彼の目の前に落とす。
「これ以上は恥ずかしいな。英助がしてくれない?」
恥らう彼女など想像したことが無い。女というものは複数の顔を使い分けるものなのだろうか。
「ね、こっち向いてよ……、じゃないとできないでしょ?」
内股を徐々に這い上がり、手触りの良いショーツに触れる。
クロッチの分だけ厚い布地がかすかに濡れており、汗とは別の粘液で濡れていた。
「濡れてるよね?」
「汗だよ」
「嘘つきミーさん」
「汗だもん」
「ミーさん、エッチな気持ちだった?」
「英助まで私を辱めたいの?」
「ミーさんのこと、もっと知りたい。だから、エッチなミーさんも見せてよ」
「英助ごときに解明できて?」
「やってみせるさ……ミーさんは俺にとっても大切な人だから」
記憶の中で過去を美化するつもりは無い。ただ、思い起こせば彼女の我侭に振り回されてきたのも全て彼女を秘かに慕っていたから。
最近ようやく気付けた気持ちは年季のわりに深みがなく、ちょっとのことで揺らいでしまう。
それはお互いの不幸。少しの勇気と、歩み寄る気持ちがあれば回避できたのかもしれない。ただ、過去に遡る事は出来ないと、英助は気弱な思考を捨て、彼女に振り返る。
下着姿の美奈はやはり幼く、胸はCカップのブラが余ってしまい、ショーツに飾られている赤いリボンがなんとも子供っぽい。唯一の色気は肩から胸元にかけて浮き上がる鎖骨と、白い喉……。
むしゃぶりついたらどんな音色を奏でるのか? 沸き起こる興奮を抑えながら彼女の胸元に手を這わす。
「ミーさん、下着はちゃんとサイズを合わせないと」
「ん、これからだってば……あ、あん」
肩紐を外し、ずれた部分に舌を這わせる。初めての愛撫に美奈は掠れた悲鳴を上げる。