イジメテアゲル!-22
「や、英助、熱いってば……」
「受け止めてくれ……」
英助は背筋を反らせつつも、下半身は最後まで彼女と触れ合っていたいと、しつこくこすりつける。
ビクビクと脈打つ肉茎は、普段よりも長く、彼に快感をもたらす。それがようやく終わると、英助は満足したのか、彼女の隣に寝転がる。
亀頭は射精の余韻でまだしばらく鎌首を震わせているが、それも徐々に収まり始める。
「あはは、べっとべと……」
両手にこびりついた精を拭うこともせず、千恵は投げ出された英助の手を握る。
「やめろよ……」
「なによ、英助が出したんじゃない。それに、終わったらさようならじゃ、オナニーと変わらないよ。だから、もう少しこのまま……」
不快な粘液に塗れた手だが、それでも歓びを分かち合った彼女の手だと思うと、むげに振り払うことも出来なかった。
〜〜
千恵は背を向けながらブラウスのボタンを留める。一方英助は自分の出したものの後始末をしている。
丸まったポケットティッシュからは青臭い不快な匂いが漂う。文芸部部室に捨てておくわけにも行かず、ひとまずビニールに詰める。
「はーあ、このショーツお気に入りだったのに、もう穿けないよ」
千恵はべっとり濡れたショーツを脱ぐと、かわりにスパッツを直に穿く。
「なあ、この体操服ってやっぱり……」
「うん。でもちゃんと返しておくよ。何時までも未練もつわけにいかないしね」
「そう言えば俺も体操服無くなったんだよ……」
「へー、変わった人もいるのね。英助のシャツなんか盗むなんて……、あぁもしかして……」
千恵はロッカーの一つを空け、ごそごそと漁る。そして胸に「進藤」とある体操服を見つける。
「はい、あったよ」
「あ、ありがと。でも何で文芸部にあるんだろ。久住じゃない……よな。あー、ミーさんか、あの人たまに訳のわからない嫌がらせするからな。今度とっちめてやらないと」
「そんな勇気あるの?」
「……無いです」
「そうだよね。それじゃ、行こうか」
「白川にあっても平気か?」
「そんなにヤワじゃないもん。んでも、もう少しだけ甘えていいかな……」
「ああ、いいよ」
「それじゃさ、とびっきり痛くするから、目つぶって」
「はい、出来ればお手柔らかに……」
英助は前かがみになり、目をぎゅっと瞑る。
部室にパチンと威勢の良い音が響き、彼の両頬に二度目の衝撃が走る。そして三度目の至福が訪れた。
「ど……して?」
唇を離して最初に出たのは疑問の言葉。千恵はイタズラっぽく微笑んだまま応えようとしない。
「なあ千恵……」
「久住でしょ? 進藤」
「久住……どうしてさ」
「さ、ね。ほら、早く行こうよ。由美にばっかり任せてられないし」
千恵は英助の背中をズンズンと押す。
痛みと快感の渦巻く思考に混乱する英助だが、頬に触れる雨の冷たさが火照りを冷ましてくれる。