投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

キミに不時着する日
【幼馴染 恋愛小説】

キミに不時着する日の最初へ キミに不時着する日 10 キミに不時着する日 12 キミに不時着する日の最後へ

片割れハートがぐるりと回る-3

……さて、このへんで話を戻してもいいだろうか。
何って、冒頭の。そう、トイレとお風呂の話。あ、ちょっと、嫌そうな顔しないで。大丈夫大丈夫、もうそう長く話すつもりもないから、ね!

だから、ええと、そう。トイレがお風呂になったようなものなのだ。
「ユキが私の彼氏になった」ということは。





「そういえばゆっちゃん、いつからいたの」

「ええと……」


もうすぐ朝のホームルームが始まってしまう。というわけで、私はユキと一緒に教室へ向かって廊下を歩いていた。
彼は私の質問に少し考えてから、


「『おはようございますトラ兄!ちょっと聞いて聞いて、きのうユキにさあ……』」

「ゆーきちゃーん、それいっちばん最初じゃないのー」

「あ、そう?」

「うん、そう。え、じゃあ、トイレの話も聞いてたの」

「ああ、俺がお風呂になる話」

「いやユキがお風呂になる話ではない、かな」

「ちがうの」

「ちがうよ。それ怖いよ」

「あ、そう」


……んん?



「……なんか、怒ってる……?」


尋ねたら、ユキはぴた、と足をとめた。
で、じいっと私を見る。眠そうな目に、どことなく、苛々した雰囲気。


「…………」

「…………」

「…………ゆ、ゆきひこ、くん?」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………ユッキー、応答せよ、こちらサクラコ、応答せよ、どうぞ!」

「…………」

「……お、応答なし……ユキヒコ隊員、死亡確認」

「…………」

「…………」

「…………はあ」


うわ、なんという嫌味ったらしいため息!


キミに不時着する日の最初へ キミに不時着する日 10 キミに不時着する日 12 キミに不時着する日の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前