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キミに不時着する日
【幼馴染 恋愛小説】

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片割れハートがぐるりと回る-4

「いいや。いこ。遅刻になる」

「ちょっと、全然良くないよ!なに怒ってるのー」

「怒ってない」

「嘘だ、怒ってる。なんで、トイレで例えたのがダメだったの!?でも、あれだよ、ユキはトイレの中でも上等なトイレになれると思うよ!トイレ界の王子になれると思うよ!ウォシュレットもついてそうだし、最近の、あの、センサーで水が流れるかんじのトイレだと思うな!いいなあユキ!私もそんなハイスペックなトイレになりたいなああ!!」

「サク、穴」

「穴?」

「墓穴がそこら中にあいてる」


わざわざ床を指さしていうからそこを見てしまった私。
ちょ、なんか、つっこみも冷たいんですけどー。





それから放課後までの一日中、ユキは私にとっても冷たかったのでした、まる。





「トラ兄、なんでユキは怒ったんだと思う?」

「さーあーなー」


時刻は変わって場所は変わらず、体育研究室。
相変わらず煙草をすぱすぱやるオトコの前、私は椅子の上に正座をしていた。なんとなく、ユキに対する誠意を見せてみている。あいついないけど。


「あれじゃね、朝の立ち具合が悪かったんじゃねえの、股間の」

「……ダメだ、相談する相手を間違えた……?」

「間違いなくそうだろうな」


相談相手に断言されるんだから、確実だ。

ああ、もう、なんなんだ今日は。ってか昨日からか。ユキ、変だ。今まで私のこと好きとか言ったこともそんなそぶりもなかったくせに、突然、なんなんだ。ついつい乗ってしまった私も私だけどさ、けどさ!っていうかそういえば、好きとかは言われてない……か。あ、言われてないや。え、じゃあ何か、ユキにとってカレシカノジョっていうのは、一般人とは違う感覚でとらえられているのか。まいたけ的な解釈なのか!?いないから言わせてもらうけど、まいたけの分際で、不機嫌とかなるな、ばかーーーー!


「それよりサク、本当にユキと付き合うのか」


学校の先生がよく座っている灰色の椅子は、座る部分がくるくる回る。それでくるくる。正座のままくるくる。うお、揺れる。


「付き合うのか、っていうか、一応もう付き合ってるし」

「一応ねえ……」


なんだか考え込むように黙ってしまったトラ兄。と思ったら椅子を捕まれて、ぐるんとトラ兄の方を向かされた。だから、結構これ、揺れるから、危ない!


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