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10年越しの約束
【初恋 恋愛小説】

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10年越しの関係-4

「なによ…こんな時までバカにしなくたって…良いじゃない……」
「あっ、いや、そうじゃなくて…」
「じゃぁ…何なのよ……」
「だから…まぁ、気にすんなって!」
「気になるよ…」
「あ〜、まぁ、そうだよな…」
光輝君が額に手をやって、ものすごく困った顔をする。眼鏡の奥の瞳が宙を仰ぐ。

「俺としては…あんまり、聖に博也の事で悩んで欲しくない。」
「………なんで?」
「なんでも!それに、今そんなに悩まなくても、そのうち全部分かるって!」
光輝君の声のトーンが、なんだか急に明るくなった。
「まぁ、お子ちゃま聖には今直ぐに理解しろって方が無理だけどなっ!」
そう言って光輝君は私の頭を鷲掴みにすると、そのまま私の頭を楽しそうにワシワシと撫でる。
(もおっ!やっぱりバカにしてるんじゃないっ!)


「そういや、水沢は?」
しばらく髪を撫でまわした後、光輝君が何かを思い出したかの様にポンと手を叩きながら言った。
「あ、絢音なら…今日はもう帰ったんじゃない…かなぁ?」
(なんで?なんで急に絢音の話が出てくるの?)
「そっか…意外だな。」
「……ぇ?」
「いや、こっちの話!」
「………」
(何だろう?また…気持ち悪い。)
光輝君は再び私の髪を撫で始め、思い出し笑いをしているみたいに軽く笑っている。
(光輝君と絢音って…どういう関係なの?)
疑うつもりは無くても、どんどん気になってしまう。
だって私には、絢音と光輝君がどこで繋がっているのかが全然分からないから…

光輝君の優しい手に素直に頭を差し出しながら、私は心の中の黒い染みが容赦なく広がっていくのを感じていた。


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