恋におちて-1-3
「じゃぁ俺のこと好きなの?」
「入学式で見たときから…ずっと」
牧本は頬を紅く染めたままそう言った。
「俺はずっと嫌われてると思って、なんだか淋しかったよ。牧本の笑顔が見たくて意地になってたけど…俺も本当はお前に惹かれてたみたい」
牧本の綺麗な目をまっすぐ見つめて言った。
俺の言葉を聞いた彼女は、驚いた顔をした後また顔を真っ赤にして「それは本当?」と聞いてきた。
「…本当もなにも、俺は最初っから嘘なんかついてません」
そう言って人がいないことを確かめて、牧本を引き寄せた。
抱きしめた牧本は小さくて柔らかくて温かくて、俺はとっても幸せな気分に満たされた。これが欲しかったんだなぁと思った。
「…先生、痛い」
腕の中の牧本が恥ずかしそうに言った。
こんなところ誰かに見られたら大変だと思い、浮かれてる気持ちを抑えて、俺は牧本を開放した。
「先生、私嬉しい」
「じゃあこれからは無愛想にするなよ」
「わかりました。…じゃあさようなら」
牧本は走って公園を出て行った。
俺の胸はまだ少し温かくて、心臓はどきどきしてた。
自分がまさか生徒には手を出すとは思っていなかったけれど、失敗した。人を好きになるのって本当に些細な事からで、何がきっかけで恋に落ちるかなんてわからない。
生徒の中で牧本だけが俺をあからさまに避けていたから、とかそういうんじゃなくて、俺は単純に好きになっていたんだ。
彼女の笑顔を思い出すと、俺までつい顔がほころんでしまう。
小さな誤解から始まった牧本との恋――新しい日々はこれからだ!
続