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イブ 茨人形
【ファンタジー 官能小説】

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イブ 茨人形-13

≪レナも呼べない。友達なんかじゃない、近づくなと、こっちからはっきり言ったのに≫
意識がなくなってくれれば楽なのに、それすらできません。
突き動かされるたびに、皮膚が破れるのでしょう。血に濡れた体が見えました。
人の体に一体どれほどの血液があるのか、すべて流れ落ちたと思うくらいです。
≪これで死ねるのかしら。  死ねたらいいのに≫
隣のメイドの叫び声はもう聞こえてきません。
はぜるような卿の息遣いだけが反対の耳から入ってきました。
≪体がだるい。誰か来て≫

―――レナの夢を見ました。
「イブ」
「なに。私を笑いに来たの?」
「そうして欲しいの」
「そうしたいなら、私に止められるわけがないわ」
「止めたいと思わないの」
「何をやってもどんどんダメになる。今の私に何ができるというの」
「あたしはあんたを見てた。何をやったというの? 何もしないからこうなったんじゃないの。ひとつだけやったことは、一番してはいけないこと。魔は人に扱えるものじゃないの」
「そんなこといってももう遅い、他に方法がなかったのよ。どうしてもっと早く言ってくれなかったの」
「また人のせい、それでは友達できないよ」
「でも、でも」
「そうね、友達になろうといったのはあたしの方だよね。あたしに頼ってくれる?」
「何とかなるの」
「あんたは魔に頼ったのと同じように、あたしに頼ることができる?」
「えっ、あなたも見返りを要求するの」
「当たり前、反作用のない作用なんてないの。あたしは見返りに友達がほしいの」
「友達でいいの? 私は嫌だっていったのに」
「人間、そんなときだってあるよ。あたしだってひとのこといえない。 その代わり、あたしの言う通りしないと友達にもなれないよ」
「助けてくれないの」
「あんたの出した魔はあんたが消すしかないの。じゃないとひどい目に合うよ」
「今よりひどいの」
「死ぬよりひどい」
「もう死んだようなものだわ」
「じゃあ、もういいじゃない。何でもやって、失敗したって死ぬだけなら楽だよ」
「私を殺したいの」
「今そっちに向かってるところだから、着くまで頑張って。魔は悪とは限らない。やつらは人と違って約束は守るんだよ」
「うそだわ。それならどうしてこんなことになるの」
「穴だらけでへたな約束をするから足元を見られるの。感情で考えちゃだめ」
「どうすればいいの」
「毅然と、論理的に話しなさい。相手の言うことをそのまま信じちゃだめ。主人はあんたなんだと常に自分に言い聞かせて」
「できるかな」
「サポートするよ。生きてほしい、あたしには友達がいないから」
私と一緒だわ ―――


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