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イブ 茨人形
【ファンタジー 官能小説】

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イブ 茨人形-1

店の中ではまだ小競り合いが続いています。
あわてて出てきたイブは、その入り口で乱雑に握りしめたカードをとりあえず財布にしまいました。
あわてたせいで、手を滑らせ、財布は店の前に並んだバイクの向こうへ落ちてしまいます。
イブは慌てて手を伸ばしましたが間に合いません。しかたなくシートに腹を乗せ、奥へ手を伸ばして財布を拾おうとしました。
尻がくねります。
起き上がろうとした時、横に男が立ちました。店から後を追うように出て来た男です。
イブの背中を軽く抑えると、それだけで起き上がることができませんでした。
「やめて」小さな声で逃れようともがきます。
「よくも私を痴漢呼ばわりしたな」
男は平然とイブのスカートをめくり、レースの入った白いショーツの上から尻を撫でまわします。
「その通りにしてやる」
店で、うしろに人がいるのに驚いて、小さく悲鳴を上げてしまっただけなのです。
「誤解です」
「他の者に言え、私はそういう目で見られたんだ」
そのすべてが大通りの通行人への見世物になっていました。
車からもバスからも、歩道を歩く人からも全部見られています。
「お願いやめて」声は思わず大きくなっていきます。
男は楽しそうに「違うだろ、『皆さん誤解しないで。私がしてほしかったんです』だろ」
男はショーツをずりさげました。
「お願い許して」周囲を気にして大きな声が出せません。
「だめ」控えた鋭い叫びは逆に通行人の目を引きました。
まるだしのおしりに、男が覆い被さってきました。
男のふくらんだ股間がイブの尻のへこみにかみ合わさり、そこをすべります。
「やめて」
「入り口で尻を出して、外がよかったのだろ」
そのままさらにのしかかると、両手で胸をまさぐりました。―――

あたしはその声に魔の響きを嗅ぎ取りました。
しかし、知識のないイブにわかるはずがありません。「フールー」たまりかねた声です。
早すぎるほどの、一瞬で魔があらわれました。
イブは、その場から救い出してもらう代償に、ひざの感覚を魔に与えてしまっていました。
「では、このまま動くんじゃない。財布を拾ってあげるよ」 イブの横で、男がバイクにのしかかっていきます。
奥の財布へ手を伸ばしました。
イブは立ち尽くし、それを見ています。
左足に力が入らないようにふるわせていますが、何がされていたような様子はありませんでした。
イブのいた所には、尻をさらした格好の写真を貼った、等身大のいかがわしい立て看板が置いてあります。
通りかかった人たちはその看板の前でバイクにもたれかかる男を見て、妙な妄想をしたのだと、顔を赤らめて通りすぎていきました。


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