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イブ 茨人形
【ファンタジー 官能小説】

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イブ 茨人形-14

目をしっかり閉じると、≪フールー≫ 気持ちを奮い立たせて呼び出しました。
『どうした助けてほしいのか』
『いいえ、私はもう苦痛を感じずに死ぬことができるわ。卿はこのまま殺すつもりよ』
『では助けてやる。何を差し出す』
『待って。そもそもこの感覚を消してくれなんて私は言ってなかったわ。お前が勝手にしたのよ』 レナに教えてもらった通りに進めます。
『痛みをすべて返してほしいのか。だが、それには体が耐えられなかった』
『その痛みで狂い死にできたわけね。だけど感覚がなければ感情も生まれないわ。 このままなら私は人形、人形は何も生みださないし、何も感じない。寿命が来るまでそこにあるだけ、でもその前に私は狂って死ぬでしょうね』
『我が死なせはしない』
『でも、狂うんでしょうね。しかし、もともとそれは契約違反よ。願ってもいないことをお前が勝手にやったんだから』
『では苦痛を喜びに変えてやろう』
いっきに快感が押し寄せてきます。私はまだ卿に犯されつづけていました。
痛みは疼きにかわり、触られているところが痛いほど気持ちがいいのです。
腰をくねらせ、その動きで皮膚が裂けてもそれがまた気持ちいいのです。
『イブ、だめ。死んじゃうよ』レナの声です。
『だから何』
『あんたが死んだらあたしの友達がいなくなる。もうすこし、頑張って』
『私なんかいなくても、あなたなら友達なんか作れるでしょう』
『そうね、こんなトゲだらけがあんたの彼氏だなんて、ついていけないかも』
『だって気持ちいいんだもの。でも、こんなの好きじゃないわ』体は喜んでます。でも心はそんな自分を軽蔑して見ています。
『それなら言いなさいよ、遺書だと思って言ってやりなさい』
『何を言っても無駄よ聞いてくれないわ』
『そう言って、きちんと言わないからわかってくれないの。さあ、言いなさい』
顔をあげました。『あの‥』
『もっと欲しいか』フールーの声。 快感が押し寄せます。
今ならあのおもちゃを差し込まれ、針に貫かれてみたい。「あなたのものなんかでは物足りないわ」目を見開き、卿をにらんで、大声で喘ぎました。
腰を振るたびに血が飛び散ります。さすがのシダ卿も一歩離れました。
「あの人形をちょうだい、私をつらぬいて」そして、針を出したままで出し入れされたいのです。≪二度と使えないようにずたずたにしてほしい。これさえなければ幸せになれる≫
『それが望みか』
そうすればどれほど気持ち良いでしょう。
「やめろ」レナが屋上に顔を出して、呪いの弾を撃ちこみました。
あおりをくったシダ卿が倒れます。
フールーは少したじろぎましたが、あまり効いていないみたいです。
「そんなことしちゃだめ」レナが怒ります。
「痛みもない、今しかないの」
「使えないようにしちゃだめ、絶対にダメ」
「何も知らないくせに」
レナは何か言いたそうにしていますが、黙っています。おそろしいほどの目でにらんできます。
≪レナは使えない何かがあるんだ≫ 入ってはいけない部分に立ち入ってしまった気がしました。
『おまえごときが勝てると思っているのか。ではこっちから行くぞ』呪いなんて見えるものではありません、それなのに、空間を揺らめかせています。フールーからすごいのがいきました。
レナが吹き飛ばされて、動きません。
「頑張ってよ、負けないで。大口たたきのへなちょこ」
≪誰に言ってるの、私のためにやってくれてるのに≫ 心に刺さります。≪あっ、刺さるのがきもちいい≫
無感覚にもいいことがありました。気持ちのいいうずきを除けば、頭がすっきりしてきます。「フールー、こんなことでごまかさないで。おまえの契約違反は変わらない。さあ、このことに対してお前は何を差し出すの」
「感覚を返してやる。全てな。元々かえすつもりであったのだ。何もなしの恐怖の後、すべての苦しみを味わわせるために。さあ、苦しむがいい」黒いものがのしかかってきます。
≪あああっ、きもちいい≫ 気を失いそうです。


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