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イブ 茨人形
【ファンタジー 官能小説】

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イブ 茨人形-16

私は屋敷の門の外に倒れています。
レナとアッチさんとナミさんが、運び出してくれたのです。
「帰ったら、逆さ吊りよ」ナミさんがレナをにらみつけています。
「でも、うまくいった‥」
「ひとりで何もできないひよっこが、偉そうなこと言うんじゃない」
「でも」
「やり遂げられる自信があるなら、黙って行かないわよね。何人の命がかかってると思うの」
「さ、さあ」
「それもわかってない。  車を持ってくるわ」あきれた顔をして、ナミさんが闇に消えていきました。
私の横には、あのメイドさんも倒れています。血の跡は付いていますが、つるっとしたきれいな肌にもどっていました。
「よく頑張ったね」レナが屋敷のカーテンを体にかけなおしてくれます。
「あなたに言われたとおりにしただけよ」
レナが震える体を支えてくれます。
「ごめんね手間がかかって。ああしないと、やつを殺せたとしても、あんたの感覚を取り戻せなかったかもしれないの。ナミがへたくそでよかった」
「そうなんだ」
「ナミは失敗しませんよ」インド系のマダムがため息をつきます。「分からないの」
「うそでしょ。あたしを奴隷みたいに使うのに?」
「おかげで友達をすくえるほどに強くなれたでしょ。そんなあなたの行動を無駄にするわけがないのですよ」
目の前に光が差しました。ナミの運転する車です。
「イブ、立てる?」レナが手を差し伸べてくれます。
「いや」手を払いのけました。「来ないで」
「どうしたの」
「帰りたくない。あんなとこに戻ったらまたこんな生活が続くのよ」
「どうしてあんなとこへ戻るの」
「ほかに行く所がないからに決まってるじゃないの」
「あたしんとこに来ればいいじゃない」
「むりよお兄様たちが連れ戻しにくるわ」
「あんたはここに捨てられたんだよ。しかるべく話が付いたんでしょ」
「ではもう、行くところもないわ」
「あなたが決心をしてサインをしてくれさえすれば、あなたの扱いについて裁判所に申し立てができるでしょう。そうすればあなたは公式に自由になれますよ」アッチが声をかけてくれます。
「アッチさんとこはね、難民保護団体なの、身元の引き受けに関しても、専門の人たちがいるよ」
「はい、そうしていいのなら」 ≪私にも、思ってくれる人がいるんだ≫
「レナ、いっしょに逆さ吊りになってあげるわね。何度でも付き合ってあげる」
「ほんと? 信じてもいいの」
「魔物にも嫌われるあなたをひとりで痛い目にさせたりしない」
 私は気負いこんで立ちました。
「あああん」レナの肩にしがみつきます。≪きっ、気持ちいい≫ 密かに快感に震えます。
「どうしたの」みんなが心配してくれます。
「足、ぐねっちゃった」








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