「背徳と退廃・花嫁Mの手記」-15
「誰だね?」
わたくしがドアの外に立っているのを確認されたはずなのに、そう問いかけてこられました。
「……み、美優です」
「わざわざ、こんな所へ何をしに来たんだ?」
教授は意地悪な方です。シーンと静まりかえった高級ホテルの廊下に立つわたくしに何を言わせたいと思っておられるのか。ただ戸惑うばかりです。
わたくしはしばらく押し黙っていました。
「用件が何なのか、はっきりと言わないと部屋に入れてやらないよ」
「教授が……授業を受けに来なさいと……」
顔を真っ赤に染めながら小さな声で呟くのがやっとでした。
「授業?……確かに授業だが……背徳と退廃の授業だぞ?」
「……わ、分かっています」
「だったら……そこでショーツを脱ぎたまえ。ノーパンになりなさい」
教授はとんでもないことを命じてこられたのです。
廊下は隅々までセキュリティのカメラで監視されているはずです。
なんて無神経で、卑劣で、野蛮で、憎らしい男でしょう。
わたくしはやはり会いに来るべきではなかったんです。凄く後悔しました。
でも、口惜しい思いと羞恥まみれの屈辱感にいたぶられながら、わたくしは部屋のドアの窪んだスペースに身を隠して、ストッキングとショーツを自分で脱いでいたんです。
「美優、実に素晴らしいよ。やはり、君はわたしが見込んだ通りの女だ」
部屋に入れて頂くと、すぐにドアを背にしながらミニワンピースの裾を捲り上げるように言われたんです。
わたくしは言われるがまま、ストッキングもショーツも脱ぎ去った露わな下半身を教授の猥らに這い回る視線に晒していたんです。
「そ、そんなに見つめないで……」
わずか二日前にバージンを奪われたばかりの秘肉です。それを露出させられていたんです。ワンピースの裾を持つ手が細かく震えていました。
身が灼け焦げるような羞恥に曝される猥らな命令を次々と受け入れて、素直に従っているなんて。きっとわたくしは気が変になっていたんです。
「君が必ず授業を受けに来てくれるって、わたしは信じていたよ」
教授は嗤っておられるだけで、わたくしを抱擁しては下さらないんです。下半身を露出させて、愉しんでおられるだけなんです。
「君にはわたしが必要なんだ。君が隠し持っている背徳的な倒錯願望は、このわたしだけが満たしてあげられるんだ……わたしに身をまかせなさい。君のドロドロした淫らな欲望のすべてを、わたしになら恥じることなく曝け出していいんだから」
堂島教授は風呂上りに着るタオル地のガウンを全裸で羽織っておられたんです。腰紐を締めておられなくて、股間ですでに隆々と勃起している恐ろしい男根をこれ見よがしに見せつけておられたのです。
二日前は目隠しされていて、一度も目にしなかった凶器のような男根です。わたくしの身体を初めて刺し貫いた男の性器……勃起したオチンチン。ぶっといオチンポ。わたくしは恥ずかしくてソレをまともに見ることが出来ずにいました。
五十歳になる白髪まじりの分別をわきまえた大学教授です……でも今は、ゼミの女子学生にノーパンになった秘肉を露出させて、勃起した男根を晒しておられるサディズムの権化のような牡獣です。
教授も世間に見せている表の顔とはまるで違う裏の貌をお持ちなんです。