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闘牝
【スポーツ 官能小説】

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闘牝-9

 膝裏に脚をかけられ背後に倒される柔道式の蟹挟みなら膝を抜くことでこらえられるが、足首を止められて斜め後方に引っ張られるサンボ式の蟹挟みはこらえようがない。
(さすが美柚子だ、油断も隙もありゃしねえ……!)
 幸いなことに、肩から落ちるサンボ式蟹挟みはダメージが少ない。無理な抵抗はせずに素直に投げられてやり、クルリと後転。
 膝立ちになって振り返り、
「そりゃっ!」
 寝技に持ち込もうとして飛びかかってきていた美柚子をガッチリと受け止める。
 と見せかけて逆に引き込み、自ら仰向けになりながら片方の脚を胸元に曲げ、美柚子のヘソの辺りに足裏を添える。
 巴投げだ。
 試合終盤の定番技だ。
「うぶっ!?」
 柔らかな腹を強く圧し上げられ、苦しそうに顔を歪める美柚子。噴き出しそうになった汚物を止めるのが精一杯なのか、逃れようとしてジタバタすることはなく、ポニーテール美少女の頭の先に素直に仰向けに落ちる。
(いまのを耐えるか……さすがだな。しかしっ!)
 巴投げの勢いで後転しつつ、途中で身を捩って美柚子に相対した凜は、小振りな美乳を飾っている飾り縄をすかさず掴み、
「うぉおっ!」
 獣のように吼えながら力任せに引き起こす。
 有利な体勢なのに寝技に持ち込まなかったのは、凜もまた、限界が近いから。
 抑え込めばさらに有利になるが、しかし、美柚子はきっとすぐさまタップするだろう。試合は中断され、仕切り直しになる。
 その時間が、惜しい。
 あと数秒で限界を超えてしまいそうなくらい、凜は切羽詰まっているのだ。
「だりゃぁああっ!」
 無理矢理立たせた美柚子にクルリと背を向け、体落としを仕掛ける凜。
 させじと身を反らせて踏ん張り、右腕を擦り上げて、凜の釣り手を切ろうとする美柚子。
(ちぃいっ!? まだ動けるのかコイツ……あっ!?)
 凜の左腕に美柚子の右腕が絡みつき、腋を潜り抜けた白い手に胸縄を掴まれた。菱縄縛りに編まれた飾り縄に余裕がなくなり、火照る乳房の麓がキリキリと締め上げられる。股間に喰い込む股縄に熱く熟れた粘膜花弁をしごかれ、弾けんばかりに勃起したクリトリスを圧し潰されて、秘裂に痺れるような快感が湧く――が、それは些細な問題だ。
(これは、まさか……)
 焦る隙もあらばこそ、美柚子が軽く跳ねながら鋭く腰を切り、脚を入れ替えた。
 すなわち、左足を凜の左踵のうしろへ、右足を凜の股間の真下へ。
(やっぱり、それかっ!)
 蒼褪める凜にしっかり腕を絡めたまま、
「たぁあっ!」
 可愛い気合いと共に、グンッ! と前転する美柚子。
 絡めた腕はそのままに、凜の足の間に差し入れていた右脚を跳ね上げて、ポニーテール美少女の尻の真ン中をタイミングよく押し上げる。
 サンボの大技・ビクトル投げだ。
 腕関節を極められての捨て身技だから、凜は耐えようがなく――クルリ。
 先に前転した美柚子の白い裸体を乗り越えるような形で、為す術もなく前転してしまう。
 ――めきっ! ミシッ!
「くぅう……ッ!?」
 胸が仰向いて火照る乳房がプルンプルンと揺れたときにはもう、凜の左脚は美柚子の左腋にしっかり抱え込まれていた。曲がらない方向に引っ張られている膝が、砕けそうなくらい痛い。限界以上に引き伸ばされた脚の裏側の筋が、ビリビリと痺れる。
 左腕も、美柚子の右腕に絡みつかれたままだ。投げられたときの衝撃で肘関節が外れてしまい、痛さが分からないほど激烈に熱い。
(こ、このタイミングで、こ、こんな……うぅうっ!)
 自由な右手で慌ててタップしつつ、仕切り直し後のプランを練ろうとする凜。
 だが、激痛のせいで頭が回らない。
 それどころか、意識が遠退きそうになる。


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