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闘牝
【スポーツ 官能小説】

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闘牝-8

 細く軽く非力な美柚子は打突でダメージを与えることが苦手だから、いままでの凜との対戦では主に投げ技で闘ってきた。その印象が強いだろうからと、敢えて苦手な蹴りや突きを使ってみたのだが、
 ガシッ! パンッ!
 弾かれた腕を引きながらの横拳も、間髪入れぬ鉄槌も、あっさりと受けられ、払われてしまった。しかも、美柚子が細腕を振っている間に足を一歩進められ、
 ――ダンッ!
 体当たりで弾き飛ばされてしまう。
 打突は付け焼き刃だから、返されるのは仕方ない――が、しかし、凜の落ち着きようはどうだ。
 これまでの対戦経験から、凜もまた投げや抑え込みが上手い選手だと思っていたのに、欠片も慌てることなく最小限の動きで美柚子の攻撃を止めた。しかも、反撃の体当たりをしたあとの格好が、怖いくらい様になっている。
「くぅぅ……ッ!」
 長い黒髪を振り乱し、土俵際ギリギリでなんとか踏み止まる美柚子。
 対する凜はゆっくりと残心を解き、切れ長の瞳をいっそう細めて、
「……くだらねえ小細工はやめろ」
 吐き捨てるように言う。
「忘れたのか? これはな、私たちの最後の試合なんだぞ。苦手な分野で闘うお前に勝っても、全然嬉しくねえんだよ!」
 言われても仕方のないことだが、美柚子は敢えて唇を噛み、怒りを掻き立てる。
 先ほどは凜の尻穴や秘裂の匂いを嗅ぎ、限界が近いことを知ったが、かくいう美柚子自身にも余裕はない。下腹はギュルギュルと不穏な音を立てているし、股縄に喰い込まれた幼気なオマンコはそこだけ茹ったかのように艶めかしく紅い。
 ここから先は、我慢比べだ。
 高まる便意と淫悦のせいでどちらも技が鈍るから、結局最後は気持ちが強い方が勝つ。
「……そういう佐伯さんはどうなの? 本当は打突が得意なのでは? だとしたら、投げや抑え込みを苦手にしているアナタに勝っても、私全然嬉しくないわ」
「安心しろ。打突は受けとカウンターしか練習してねえ。入学直後の練習試合でお前にブン投げられて以来、お前を投げ返すことばかり考えていたからな」
「それは光栄……ねっ!」
 言葉終わりに身を沈め、鋭く踏み込む美柚子。
 なよやかな腕でまたしても突きを放つが、型に忠実な、なんとも見え見えの動きだから、凜は溜め息を吐きながら軽々といなす――が。
「おっ!?」
 いなしたはずの腕に、美柚子の腕が一瞬絡みついた。
 絡んだ肘に圧力がかかり、身体が前方に引っ張られる。
 掴まれているわけではない。
 肘関節のわずかな凹凸が、軽く引っかかっているだけだ。
 にも関わらず、美柚子の腕は吸いついているかのように離れない。力の掛け具合が絶妙で、凜の腕が圧されて動いた分だけさらに押しつけてきているのだ。
(これは……合気か!)
 凜がわずかにバランスを崩した隙を突き、スルリと脇に潜り込んでくる美柚子。
 その細い肩が凜の胸を制し、同時に白くなよやかな手が凜の腰紐を掴む。右尻に押しつけられたのは、美柚子の腹。合気道や古流柔術でいうところの腰投げだ。
「やぁあっ!」
 反り投げの要領で身を反らし、腰骨に乗せて浮かせたポニーテール美少女を、背後に投げ捨てる美柚子。
 反応が少しでも遅れていたら、凜は土俵に叩きつけられていただろう。
 だが、美柚子の肩に胸を制された瞬間、技を見抜いて地を蹴っていた。
 自ら飛び上がってバク転したため、足から着地することが出来た。
(よしっ!)
 すぐ間近に、細身の美少女の白い肩。
 反り投げを打った直後だから、バランスが崩れている。
 タックルのように抱きつくと、美柚子は慌てて首にしがみついてきた。なおも押すと、ケンケンで倒れまいと粘る。
(そうか……お前もそろそろ限界なんだな。だから、柄にもなく強引に攻めてるんだな)
 見切った凜は腹の辺りに浮いている美柚子の左太腿を抱え込み、一気に押し倒そうとした――が、次の瞬間、
「あ……ッ!?」
 左の踵を刈るように蹴られながら右半身にぶら下がられる。
 サンボ式の蟹挟みだ。


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