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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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家族旅行での出来事 1日目 午後の出逢い-1

金曜日の昼過ぎ、香澄たち家族は久々に家族旅行に出かけた。
言ってみれば真奈美の中学卒業、そして高校進学、
二つのお祝いを兼ねた旅行だった。

夫は、この旅行を家族全員のリフレッシュの旅と考えていたようだ。
これを機に、今までの一切のわだかまりを捨て、
改めて3人のきずなを深めようと考えたのだろう。
だから、3人で相談のうえ、スマフォは家に置いていくことにしたのだ。

しかし香澄は正直乗り気ではなかった。
香澄にとってあの夜の出来事があまりにも大きかったのだ。
そもそも自分を助けに来たのは夫ではなかった。
いや、夫が助けに来ないだろうことはわかっていた。
むしろ香澄がレイプされているということに、香澄以上に興奮し、
香澄の思いがけない行動に期待していたのはほかならぬ雅和だったし、
香澄自身も、そんな夫の行動を有難く思ってはいた。

なぜなら、夫はレイプ犯たちに強要された結果として、
仕方なしに香澄に命令した風を装いながら、
香澄が、嫌も応もなくレイプ犯に従わざるを得ないような状況を作ってくれたからだ。
だからこそ香澄は、今までに経験したレイプではとても味わうことのできなかった、
屈辱の先にある快感を存分に味わうことができたのだ。

そればかりではなかった。
助けに来た征爾によって、
セックスには人と人とのつながりが欠かせないことなのだということを、
身を持って学ぶことも出来た。

にもかかわらず、助けに来たのが夫ではなかったという事実は、
香澄の心に一つの陰りを作った。

(わたしがどうなってもよかったのだろうか。
 あのままあの男たちに連れ去られ、
 それこそそのまま命を奪われるようなことになっていたら……。)

もしもあの時、男たちが自暴自棄になったらどうなっていただろう。
香澄はそれを考えると、征爾の先見の明のある行動に感謝すると同時に、
妻のレイプ画面を見ながら気を失ってしまったという夫の不甲斐なさに、
正直考えさせられてしまうのだ。

(今までのわだかまりを捨てて?
 わたしはそんな簡単に捨てることができるだろうか。)

真奈美がはしゃげばはしゃぐほど、香澄の心は反対に沈んでいった。



夕方近くになって、香澄たちは山間の日帰り露天風呂を目指して車を走らせていた。
走行中、真奈美が看板を見つけ、どうしても行ってみたいと言い出したのだ。

「ねえ、今、なんかお風呂の絵が描いてあった。」
「お風呂の絵?看板か何かかな?」
「うん。看板。なんとか天風呂って書いてあった。」
「ああ、たぶん露天風呂だろ。」
「ねえねえ、露天風呂ってなあに?」
「あ、そうか。真奈美は入ったこと、ないかもなあ。」

(露天風呂?真奈美だけじゃないわ。わたしだってここ何年も入ってないじゃないの)
香澄はウトウトしながらも父娘の会話に耳を傾けていた。

「ねえ、ねえ、露天風呂ってなあに?」
「これこれしかじか……。」
「わ〜。行く〜!行ってみた〜い。入りた〜い。」
そう言うわけで雅和はカーナビで近くの露天風呂を検索し、
今、そこに向かっているところだった。
香澄はその旅館の電話番号を調べて電話を入れた。
幸い今日は予約客もなく、ゆったりと泊ることができるという返事だった。

(あの声、どこかで聞いたような……。)
香澄は電話に出た旅館の女将の声が気になっていた。
渓流沿いの露天風呂。

そんな設備を持った旅館は日本中にそれこそ数えきれないほどあるだろう。
(まあ、そんなこと、あるはずもないわ。)
香澄は、頭の片隅に浮かんだ可能性を打ち消した。

真奈美はもう盛り上がりっぱなしで、
30分ほどの道のりが我慢できないほど盛り上がっていた。


途中からわき道に入り、渓流めがけて山道を下っている時、
外を見てはしゃいでいた真奈美が、道端に座り込んでいる二人組を発見した。
どうやら一人が足を痛めているようだった。
雅和は車を止め、声をかけた。

「どうかしましたか?」
「あ、いや、大丈夫です。ちょっと脚がつっただけで。」
「歩けますか?」
「ええ。少し休めば大丈夫だと思います。」
「失礼ですが、どちらまで行かれる予定で。」
「ありがとうございます。本当に大丈夫ですから。」

雅和の問いに答えているのは20代の男性。
脚を痛めたのは連れの女性。
こちらも20代だろうか。

困った人がいたら声を掛けずにはいられない性格の夫。
(これがこの人のいいところでもある。
 でも、物事を大局的に見られないということも言えるわ。
 自分から余計なトラブルに巻き込まれていくところがあるもの。)

香澄は、雅和が何気なく言葉をかけたこのカップルが、
何かのトラブルのきっかけにならなければよいがと思った。

その時、真奈美が女性の方に声をかけた。
「ねえ、お姉さん。具合が悪いんでしょ?歩けないくらい……。」
真奈美に声をかけられた女性がようやく顔を上げた。
心なしか顔色が悪いようにも見える。
「ほら、やっぱり具合が悪そうだよ、お父さん。」
「ああ。そうだな。あの、もしよろしかったら、病院探してみましょうか?」
「あ、いえ。本当にたいしたことないんです。」
「でも、かなり辛そうだ。無理しない方がいいですよ。」
(真奈美にも、夫と同じ面があるわ。
 この子もその気はないのに自分からトラブルの種をまいてしまうタイプかも。)

その時、ぽつぽつと大粒の雨が降ってきた。
「あ、ほら。とうとう降ってきた。
 そうだ。わたしたちはこの下の旅館に今夜泊まる予定なんです。
 あなたたちも、予定がないのなら、そこで泊まるっていうのはいかがです?」
香澄は思わず下を向いてつぶやいた。
(ほら、やっぱり。)


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