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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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香澄の本性 序章-1

生野香澄。

真奈美の母である。
真奈美がどんな女の子で、どのような性格の持ち主で、どのような一生を送ったかは、
『真奈美の青春』に記されている。

この作品では、真奈美の母、生野香澄の焦点を当て、母親の目から見た真奈美の姿と言うよりは、真奈美のあまりに壮絶な一生の陰に隠れていた、母親としてではなく一人の女としての香澄の半生を描いていこうと思う。




真奈美は香澄と父、雅和の間に生まれた女の子だ。

真奈美は生まれつき、治療困難な病を抱えていた。
脳腫瘍だった。
しかも、その腫瘍は脳細胞に食い込んだ形で存在しており、
手術による摘出は不可能だった。

さらにその腫瘍の圧迫によって、真奈美の脳は知的な部分の発達が十分でなかった。
つまり、真奈美は一般的に言われる知恵遅れの子どもだったのだ。

父親である雅和には、真奈美に脳に腫瘍があることは、
出産直後に医師から知らされていたが、
難産によって死線をさまよっていた香澄には、
真奈美の病気については知らされることはなった。

治療法もない、そしていつ命が奪われるかもわからない、
という時限爆弾を脳内に抱えながら真奈美は成長していった。

そして、母親である香澄は、夫、雅和が伝えるタイミングを逸したために、
その事実を知らないまま、十数年の歳月が過ぎていったのだ。


香澄は真奈美の命に限りがあることをひょんなことから知ることとなる。
真奈美が小学校4年生の時に真奈美のクラスに一人の転校生があった。

彼の名は斎藤敏明。
彼もまた、特殊な家庭の下で育った。

敏明の両親は、性に対して、世間や常識とは全くかけ離れた価値観を持っていたのだ。

それだけではなかった。
敏明の父、征爾はセックスを極めるため、
半ば人体実験とも言える方法を家族に施すことでその研究を進めていた。

鈴木家の長女、紗理奈。次女の美奈子。そして末っ子の敏明。
三人の子どもたちは、幼いころからある意味では、
セックスの英才教育を受けながら成長した。


敏明は小学校4年生の時に、同級生となった真奈美を誘い、
様々ないきさつを経てセックスする仲となったのだ。

しかし、その経過において生じたトラブルによって、
敏明は不思議な症状に侵されるとになった。
常にペニスが勃起状態を維持するという症状に見舞われたのだ。

原因は、真奈美だった。
真奈美の先天的ともいえる性的な能力が、
敏明の身体に残されていた薬物と異常な反応を起こし、
敏明の身体に常時勃起という異常事態を引き起こしたのだ。

敏明の父、征爾は、様々な文献をあたり、その治療は真奈美にしかできないことを知る。
征爾はすべての事情を真奈美の両親、雅和と香澄に打ち明け、
そのうえで敏明の治療への協力を仰ぐ。
それは真奈美を週に一度、治療のために敏明の元へよこすことだった。


その治療が性的なものであることを察した雅和は、
今まで真奈美の母、香澄に打ち明けていなかった真奈美の病について初めて語る。

限りある命ならば、真奈美の思う通りに全うさせてやりたいと。
真奈美が生きた証を残すために、敏明の治療に従事させてやりたいという親心に、
敏明の両親は涙し、4人は手を取った。

その一方で、真奈美が生まれつき、
限りある命であったことを10年の歳月を経て初めて知った真奈美の母、香澄は、
今までの10年間の自分の無力さと、真奈美の将来への失望とで心を病み、
その命を生み出してしまったセックスそのものを罪と考えるようになり、
夫との性生活を一切絶つことになる。

30代後半に差し掛かっても、毎晩のように体を交えてきた夫婦にとって、
セックスを絶つことは一大事でもあった。

しかし、香澄は夫の誘いには全く応じなくなり、5年余りの歳月が流れた。



敏明は真奈美の献身的な治療により、奇怪な症状はまさに完治の日を迎えた。

敏明は中学校卒業を前に、普通の身体を取り戻したのだ。

それを祝ってのパーティーが敏明の家で行われた。





この「香澄の本性」は、「真奈美の青春」の後半、
敏明の全快パーティー直前からの出来事を香澄の視点に立って書き上げた作品である。


もちろん、生野真奈美を中心とした、生野一家に起きた出来事を綴った作品ではあるが、
香澄の心情をより正確に、より深く述べていくために、
真奈美には知られたくなかった親としての真実や、
真由美が知りえない親としての苦しみや葛藤などを述べるにあたって、
両作品の設定や出来事、流れ等について、
様々な差異が生じることをご了承いただきたい。


特に、5年間、自分の性欲をすべて抑圧されて生きてきた香澄の心の中には、
筆者にもはかり知ることのできない、
様々な心の闇があることだけは確かなのである。



母親としての香澄。
妻としての香澄。
そして何よりも、女としての香澄。



それは一人の人物の一面であり、全てである。
そして、全てであり、一面でしかない。


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