家族旅行での出来事 1日目 午後の出逢い-5
香澄が何気なく雅和の股間に目をやると、
案の定、現在進行形で勃起し始めたところのようだった。
あの兄妹との混浴、そしてそれから起きるかも知らないことを想像してなのか、
真奈美の、兄妹同士のスキンシップの描写に刺激されてなのかはわからないが、
夫は明らかに‘何か’に期待しているのだ。
「だからね、真奈美、すぐに思ったんだ。
あ〜。紗理奈おねえちゃんととし君みたいだなって。」
「そっか。最初から、真奈美はわかってたんだ。あの二人がそういう関係だって。」
香澄が感心したように言うと、雅和が勝ち誇ったような顔で言った。
「な?だからそう言っただろ?」
香澄は真奈美の観察力の鋭さに驚くと同時に、ひとつの疑問にも行き当たった。
「ねえ、あなた。あなたはなんでわかったのよ。
真奈美がいろんなことに気づいているって。」
「あの二人を車に乗せてから、真奈美のテンションが上がったからさ。
あ、真奈美はこの二人のことを気に入ったんだなって思ったのさ。」
香澄は夫の耳元に顔を近づけ、小さな声で聴いた。
「じゃあ、二人がそういう関係だとは?」
真奈美は窓の外を見ていた。
雅和の手が香澄の太腿にそっと触れた。
「さすがにそこまでは想像できなかったけどね。
ただ、全く期待していなかったかと言えば嘘になる。
それに、その方面に関しての真奈美の感覚は鋭いからね。
真奈美が気に入った二人なら、何かあるんじゃないか、とは思ったよ。」
「何かあるって?」
「もちろん、そういうことさ。あわよくば……みたいな。ね。」
「あなた……。」
「男なんて、みんな、そんなもんじゃないのかな。」
雅和はタオルを持って立ち上がった。
そして真奈美が振り返るかもしれないのに、
香澄の首筋に息を吹きかけた後、キスをした。
「じゃあ、ボクは先に風呂に入ってくるよ。
もちろん、男湯にね。
香澄。君も、夕食前に真奈美と入っておいで。
もちろん女湯の方だ。」
(混浴ではまだ続いているっていうこと?
でも、言われることで、逆に意識しちゃうじゃないの。)
「あ、そうだ、香澄。」
ふすまのところで振り返った雅和の股間は一段と膨らみを増していた。
「あ、はい。」
「二人とも、良〜く洗っておいた方がいい。
夕食の後に何があってもいいようにね。」
雅和は浴衣の裾を開き、すでに勃起したペニスを軽く扱きながら言った。
(やだ。この人、すっかりその気だわ。
良〜く洗っておいた方がいい?何があってもいいように?
完全にその気じゃない。)
(それにしても、あの人、意外と真奈美のこと、しっかり見ているのね。
真奈美が気に入った男女……。
えっ?真奈美は?真奈美はどうするつもりなんだろう。
孝志君は、夫が真央ちゃんの相手をするのなら、当然、真奈美を選ぶだろうし。
そしたら、わたしは?真奈美と孝志君を取り合うの?
えっ?それともいきなりの乱交になるっていうこと?
でも、もしもそんなことになったら……。)
香澄は自分の身体の奥の方が熱くなってくるのを感じた。
そんな香澄の気持ちなど全く介していない様子で、真奈美が言った。
「お母さん。わたしたちも入りに行こ。
あのね、露天風呂は3つ、あるんだよ。男湯と女湯と、混浴。
今は、女湯に入ればいいんだよね?
混浴はまだ、使ってると思うんだ。」
珍しく真奈美は自分で風呂の支度を整え、香澄のことを待っていた。
「真奈美ちゃん。どうしたの?そんなに素早く自分で準備するなんて。」
「だって、早くお風呂に入って、奇麗に洗って、その後、夕ご飯を食べて、
で、食休み?っていうのを少しして、その後、混浴で集合だもん。
のんびりしてられないよ。」
「そ、そんなことまで話したの?」
「うん。ご飯はちゃんと食べなきゃだめだよって言われたし、
食べ終わった後は少し身体を静かに休めるようにって言われた。」
「そ、そこまで丁寧に?」
「うん。お兄ちゃんもお姉ちゃんも、とっても優しいいい人だよ。
あ、でも、お姉ちゃんの方はちょっと元気はなかったけどね。」
「足がつったって言ってたものね。」
「あ、それはもう大丈夫だって。よくあるんだって。」
「そうなんだ。」
「そ、そんなことまで?短い時間の中でよく聞けたわね。」」
「うん。真奈美、聞き上手なのだ。」
(聞き上手っていうのとはちょっと違うような……。
でも、相手が初対面の人でも、
すぐに心を開いちゃうっていうのは、この子の特性かも。
ううん。それよりも、相手が思わずしゃべっちゃうっていうのも、
本当の意味で聞き上手っていうことかもしれないわ。)
香澄は真奈美に急かされながら風呂の支度をし、部屋を出た。
真奈美に案内されて廊下を歩き、階段を降りると、
【この先 露天風呂】の矢印があった。
確かに、男湯と女湯、そして混浴と書いてある。
真奈美は声をあげながら女湯に向かって走り出した。
「真奈美ちゃん。慌てなくてもいいから。」
真奈美についていこうとした香澄を呼び止めた声があった。
「香澄、さん?」
「えっ?」
香澄が振り向くと、そこには和服を着た、香澄と同年代の女性が立っていた。
「香澄、だよね。さっき、宿帳を見て……。
もしかしたらって思ったんだけど……。」
「えっ?誰?」
どこかで見たことがあるような顔だが、香澄はすぐには思い出せなかった。
すると相手はさらに一歩香澄に近づき、香澄の顔を覗き込むようにした。
「わたしだよ、わたし。フーミン。」
「フーミン?……。フーミン?!」
「わ〜。思い出してくれたんだ。カスミン。久しぶり。」