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捜査中に触られて〜電車編〜
【痴漢/痴女 官能小説】

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談話室-1

捜査課に戻り仕事に取り掛かるが手に付かない。

【まさか、ここに来るなんて!】

驚きと戸惑いで、頭が混乱する。だが、仕事をしている部下達を見て

【こんな事じゃ駄目だわ、仕事に集中しないと!】
【集中!、集中!】

と自分に言い聞かせ、決済書類を取った。

時計を見ると午後11時を過ぎている。咲良は、部下達に切りの良い所で終わりにして上がる様に伝える。部下達が、次々決済書類を咲良に渡し帰り支度をしている。

咲良は、決済書類に目を通しながら挨拶して帰っていく部下達に声を掛けていく。暫くして、周りを見ると部下達は、全員帰った様だった。椅子の上で両手を拳にして突き上げながら上半身を伸ばすと

『うっんー!』

と声が出る。

『フゥー。』

と息を吐きながら次の書類を取った時、捜査課の電話が鳴る。咲良は、自分の机の固定電話に切り替え受けた。

『総合受け付けです、奥山さんをお願いします。』

と先方が話す。咲良は、

『私です。』

と答えると、

『桜井太郎さんと言う方が、面会を希望されています。』

と言う。咲良は、

『分かりました、今から下に向かいます。』

と言い、電話を切った。

エレベーターに乗り1階のボタンを押す。心臓がドキドキする、

【総合受け付けでは、冷静に対応しないと、おかしいと思われる。】

と思いながら、桜井は、私が言った様に何か物を持って来ただろうかと不安になった。

桜井が2時間後に来ると告げた電話の後、咲良はある事を思い出し桜井に掛け直した。桜井に包みでも、書類入れでも良いから持ってくる様頼んだのだ。

エレベーターを1階で降りると、解放的なフロアが目に入り、騒がしい喧騒が聞こえて来た。それぞれの課の受け付けの前に、人々がいて、夜中の0時近くでも賑やかだ。

交通課や生活安全課などの前を通り、入口に近い総合受け付けの方に向かう。総合受け付けに近づくと、大柄で黒色系上下の服装の桜井が見える。

【目立つな。】

と咲良は、思いつつ桜井に会釈した。桜井も返す。

【良かった、黒いブリーフケースを持っている。】

とホッとする。総合受け付けの男性職員に、

『すいません。』

と声を掛け、続けて

『面会者がいると連絡を貰った奥山です。』

と告げる。男性職員は、

『奥山さん、あちらの方が面会者の桜井さんです。』

と答えた。咲良は、

『面会者は、マルJです。面会の為、談話室を使います。』

と言う。談話室の管理は、総合受け付けが行い記録されるが残らない。次の日には破棄されるのだ。マルJは、情報提供者の隠語だ。男性職員も特別に関心を示さない、良くある事なのだ。咲良が続けて、

『マルJはマルSを所持しているので面会はドアを閉めて行います。』

と伝える。マルSは、情報提供者が、持ち込む物全般を言い、資料や物品などだ。マルS所持の場合は、基本談話室のドアを閉めて行う規則だ、特に最近、機密保持の観点からも厳しくなった。男性職員は、

『単独面会ですか?』

咲良は、

『そうです。』

と答えると男性職員は、咲良と桜井を見て

『大丈夫ですか?誰か付けましょうか?』

と心配する。大柄な強面の桜井と咲良が個室に二人切りになる事を心配しているのだ。 

それに異性間の面会の場合は、トラブル回避からドアを開けて行うのが普通だ。最もこの場合は、情報提供者が女性の場合であるが。咲良は、普通相手にもよるが男性情報提供者の場合でもドアを閉めて面会している。

咲良は、笑いながら

『ありがとうございます。私のマルJです、大丈夫です。』

と謝意を示した。男性職員は、納得してうなずいた。情報提供者は、捜査官が適正人物を探して育成する事が結構有り、その場合その捜査官のみに情報を提供する場合がほとんどなのだ。

咲良は、桜井に

『行きましょう。』

と声を掛け、総合受け付けの横の通路を少し行った所にある3つ並んだ個室の一番手前の部屋のドアを開け、桜井を招き入れ、ドアの白い〔空室〕のプレートを引き赤い〔使用中〕にして中に入った。

咲良は、総合受け付けでの職員とのやり取りや談話室に入るまで、心臓がバクバクしていた。

【職員は、怪しまなかったかな?】

と心配し、この談話室を選んだのも、それぞれの課の受け付け付近にも談話室は有るが、自分と桜井では目立ってフロアの人々、特に職員の注意を引くのでは無いかと恐れたのだ。

こちらの談話室の前は、壁になっており、掲示板やポスターなどが貼ってある。ただ、職員の通路にもなっており、出入りは結構有る。この談話室に入るまで誰とも会わなくて、ホッとしていた。

談話室に入ると桜井が、

『狭いな。』

と言った。6畳位の広さに3人掛け位のソファーが向かいあって二つ置いてあり、ソファーの間にガラス表面のテーブルが置いてある。そのテーブルの上には固定電話がある。

窓があり、別に格子はされていない。取り調べ室ではなく、談話室だからだろう。折り畳み式の椅子が二脚置いて有った。他に有るのは、エアコン位で殺風景な部屋だった。

咲良が、

『まだ仕事が残っているの。』
『それにこの部屋にはそんなに長く居られないわ、怪しまれるから。』

と言うと桜井が、窓を開けた。歩道に面しておりまだ人通りは多く、その向こうの車道も行き交う車の量も少なくない。桜井は、

『解ってる。』
『仕事の邪魔はしないと言ったろう、奥山咲良チーフ捜査官。』
『時間が無いなら、急ごうか。』 
『こっちへ来い!』

と言った。


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