Operation Satyriasis-1
俺は、ジェニファーと華恋に、前の世界で俺が経験したことのうち、彼女たち2人に関連する重要情報を包み隠さず話した。2人とも、最初は呆気に取られて聞いていたが、俺の話しが、彼女ら自身しか知り得ない核心に及ぶと、真剣な顔つきに変わった。
ジェニファーは、自分が9カ月後に殺されると聞いて、顔が青ざめたが、心当たりがあるようで、俺の話を子供の戯言として聞き流さず、俺をじっと見据えて、しっかり受け止めてくれた。
華恋は、約2年後に自分が米海兵隊に入隊するという俺の話を刮目して聞いた。というのは、彼女は最近米国市民権を取得した直後で、キャリアアップのために米軍に志願することを検討していたからだ。
しかし、ジェニファーと華恋が、最も驚いたのは、彼女たち2人が、異母姉妹だということだった。最初は、まさか、そんな偶然があるはずはないという顔をしていたが、俺の話す人物関係が、彼女たちの記憶や知識とことごとく一致した。それに加えて、1967年の強姦事件発生当時、まだ1歳だったジェニファー・ジャッキー双子姉妹の父のジェフリーは、確かに沖縄のCamp Courtneyで参謀をしていたと聞いていることや、事件から約8カ月足らずの翌年2月末に華恋は通常分娩で生まれていることから、華恋の母親はレイプによって懐妊したはずはないという結論 に達し、俺の言葉を信用してくれた。
俺は、彼女たちに協力を求めた。彼女たちを救う俺の作戦への。作戦のコードネームは、Operation Satyriasis (サチリアージス作戦)だ。作戦目的は、ジェニファーと華恋を宿命と怨念から、解放し、俺たち3人にジャッキーを含めた4人で、共に手を携えて生きる未来を実現することだ。これは、彼女たちのためでもあるが、何よりも俺自身のための作戦だ。俺は心から愛する年上のハニーたちを、もう絶対に失いたくない。社会からどんなに白い目で見られようと、国家が重婚罪で取り締まろうと、自治体が未成年者への姦淫規制(淫行防止条例)で干渉しようと、関係ない。4人で一緒に暮らして、幸せな家庭を築く、と俺は決意を固めた。日本に俺たちの居場所がなければ、どこか他の国に探せばいい。