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ブービートラップ
【ショタ 官能小説】

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Dina-1

サンディエゴには、Chaldeans(カルデア人)または、Assyrians(アッシリア人)と呼ばれる2000人規模の亡命イラク人コミュニティがある。彼らの多くは、1988年3月にイラクの狂犬サダム・フセインがイラク北部で化学兵器を使い民間人を大虐殺したあと、トルコやヨーロッパを経て、気候が故郷に近い南カリフォルニアへ逃れてきた人々だ。カルデア人とアッシリア人はアラビア語を話す敬虔なキリスト教徒たちで、聖書にも登場する古い民族だ。

俺のクラスには、Dina(ディーナ)という名のカルデア人の少女がいた。肌の色はとても白く、綺麗なターコイズ(トルコ石)色の瞳に、滑らかな赤毛(red head)の目鼻立ちの整った美人で、とてもイラク人には見えなかった。学年は同じだが、年は俺よりも1つ上で16歳だった(ソーニャとラナと同じ)。

彼女は控えめな性格だが、周囲の環境に溶け込み、ハイスクールライフを楽しんでいるように見えた。しかし、10月の上旬、教室移動の際に、俺は、目に涙を溜めて肩を落として歩く彼女の姿を見かけた。思い切って声をかけてみたが、彼女は”I’m fine. (大丈夫よ)”と一言言って歩き去った。

2日後の放課後、俺が空手の練習のため講堂へ向かって歩いていた時、彼女が白人至上主義グループSwastikaのメンバーの不良達に絡まれている現場に遭遇した。不良のうちの1人の女がディーナの胸倉を手で掴んで揺さぶっているのを見た俺は、駆け寄り, “Leave her alone, now!(彼女に絡むな!)と言った。

“Wow, who the hell are you, little chink? Don’t even think about poking your dirty nose into our business. Get lost. (テメェ誰だ、目が小っせーチビ。俺たちのやってることに汚ったねぇ首突っ込むんじゃねぇーよ。失せろ。)とスキンヘッドで顔中ピアスだらけのチンピラが、俺に向かって凄んできた。

俺は、ディーナの前に立ち、身構えた。

“Phew! This is very funny. This little gook pretends to be a white knight on the horse back, standing up for this Arabe bitch princess. (ちょっとマジ、ウケるんだけど。この東洋人のチビ猿、アラブの淫売姫のために立ち上がる白馬の王子さま気取りなんて。)“と不良女が言うと、連中は大爆笑した。

次の瞬間、3人のチンピラが次々に襲い掛かってきた。俺は空手の突き、蹴り技で防戦しつつ、一定の間合いを超えて、踏み込んできた奴らには、時任流合気道の技を容赦なく掛けて制圧した。特に俺をchink呼ばわりした奴には、肩の関節を少しキツ目に締め上げてやった。すると、情けない悲鳴を上げだしたので解放した。

“Listen, guys. This is the act of legitimate self-defense. And I will report your racially motivated harassments against Dina to the principal’s office right way. Remember our school has a zero-tolerance policy against racism, which means you’re gonna risk getting kicked out because of your misbehaviors. From now on, beware of your actions. (よく聞け。これは正当防衛だ。これから俺は直ちに校長室に行ってお前たちのディーナに対する人種差別的な嫌がらせ行為を報告してくる。この学校の方針は、人種差別を一切許容しないということを忘れるな。このままだと、お前たちは非行により退学処分になりかねない。今後、行動を自重しろ。)と言って、俺はDinaの手を引き、その場から離れた。

しばらく行くと、彼女は俺の前に立ち、涙に濡れた美しい瞳で俺を見つめて、”Thank you so much, Kou. You saved me... You’re my white knight. (本当にありがとう、コウ、私を救ってくれて。あなたは私の白馬の騎士さまよ。)と言った。

日本語では、こういう非常にベタな言葉は使う方も、言われる方も恥ずかしくてやってられないが、俺にとって第二言語の英語で言われると、素直にとても嬉しかった。少なくとも、俺の武術の鍛錬は人の役に立っている。

その日、Dinaの親が迎えに来る時間まで彼女に武術部の活動を見学させ、その後で、俺は彼女を駐車場までエスコートした。

“Once again, thank you very much, Kou. I’ve begun thinking about quitting this school ever since Gulf Crisis broke out. Just because I’m Iraqi, some people here look at me with hostility. But, thanks to you, I decided to stand firm. You gave me courage. (もう一度、ありがとうを言わせて、コウ。私、湾岸危機が没発してから、この学校やめようかなと思い始めたところだったの。私がイラク人だからと言う理由で、ここの人のなかには私を敵意を込めて見る人がいるの。でも、あなたのおかげで、私ここに踏み止まる決心がついたわ。あなたが、私に勇気を与えてくれたのよ。)”


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