成果-3
トパルミラが、ある朝、珍しく深刻そうな顔をしてやってきた。この日は休みに決めていたので、特にすることもなかった俺は、話を聞くことにした。遂に妊娠したのかと予想してのことだった。
こちらが何か言う前にトパルミラは腰巻きを脱ぎ、下だけ裸になったのだが
「Ĉu estus permesite resti tiel? 」
(こんなふうにしていても、いいでしょうか。)
かなり慌てているようだった。
「Kion vi volas paroli al mi, Tparmila? Ĉu vi eble fariĝis graveda? 」
(何が話したいんだ、トパルミラ? もしかして妊娠したのか。)
「Mi mem ne scias. Mi ne demetis pro tio. Mi nur pensis ke vi ĉiam deziras vidi ĝin. Tamen eblas efektive okazi la afero. Bonvolu rigardi kaj certigi! 」
(私も分かりません。脱いだのは、ミスターがいつもあれを見たがるから。でも、妊娠だってしてるかも知れません。見て確かめてください。)
尻を広げてこちらに見せようとするのを一度留めた俺は
「Vi ŝajnas tre maltrankvila. Kio okazis? 」
(落ち着かないな。何があったの?)
「Mi aŭdis du gravajn aferojn. 」
(大変な事を二つ聞いたんです。)
周りの様子を窺いながら、トパルミラが語ったことは、次のような話だった。
教練の際、ある上級幹部達が便所で話していたのを偶然、戸の陰にいたトパルミラが聞いたそうだ。まず、以前去勢された男がまだ山で一人だけ生きていたこと。そして、その男がどうやら女王戒について何かを知っており、幹部達がそれを聞きだしつつあるらしいこと。この二つだった。そして、トパルミラの見解では、上級幹部の中に、現女王の体制に不満を持つ反乱分子が存在するらしいというのである。サルヴァッツァはかつては彼女らの部下でもあったとトパルミラは言った。
「Sinjoro, kion oni devas fari? 」
(ミスター、どうしたらいいんでしょう。)
「Mi ne scias. 」
(分からないな。)
咄嗟に答えられるものではなかった。幼いトパルミラの話を鵜呑みにもできなければ、迂闊に女王などに相談する訳にも行くまい。嫌な話を耳にしたと俺は思った。
「Mi ne pensas, ke mi povos fari ion kontraŭ la afero, sed mi vizitu hodiaŭ Sarvaccan. 」
(俺に何かできるとも思えないけど、今日、サルヴァッツァを訪ねてみよう。)
トパルミラは震えていた。不安を消してほしいと言って差し向けてきた子供の赤い割れ目に、俺は、自分の不安も忘れようと、力一杯突き込んだ。