た-4
「お前が、成田さんを忘れられないって言うから・・・」
「だから?」
「だから、好きだって言えなかった」
「ほんと、白木ってバカ」
「バカバカ言うなよ・・・」
「バカでしょ?」
「・・・・」
可愛いバカ。
「白木だって、乃恵ちゃん乃恵ちゃんって。
アイドルのファンクラブの会長みたいにうるさいのよ!」
「うるさいって・・・」
「うるさいでしょ!」
「・・・・」
愛しいバカ。
「ゼミの飲み会に呼んどいて乃恵とばっかり話してるし」
「ごめん。
あの頃、綾香に対して自分の気持ちが良く分からなかったんだ。
乃恵ちゃんと話してても、綾香が気になってしょうがなかった」
「バカね」
「・・・・」
「白木は私の事が好きに決まってるでしょ」
私のその言葉に白木は小さく笑った。
「あぁ。だな。いくら乃恵ちゃんと話してても
綾香と上杉の会話が気になってしょうがなかった」
「もう、バカね」
「でも!綾香だって、成田先輩成田先輩って」
「そんなの・・・」
「何だよ」
「そんなの、BBQで白木のベルトループに指をひっかけた時から
白木の事が好きだもん!!
感じとってよ!バカ!」
「ったく、お互いしょうがねーな」
苦笑いしながら、白木はゆっくりと私に唇を重ねた。