ぶ-2
私の心を見透かされているようで
私の気持ちを見透かされそうで
その視線が怖かった。
もう、成田先輩の事を好きって気持ちは限りなく吹っ切れていて
それを白木に隠している心の奥を覗かれそうで怖かった。
「分かった」
白木が小さく、冷静に言ったその言葉にカッとして
私は、何も言わずに白木とは反対方向に駆け出した。
こっちが駅なのかも
行きたい方向なのかも分からずに
ただただ、白木とは反対方向だというそれだけの方向に駆け出した。
ココから離れなきゃいけない。
本能的にそう感じたその視線に
焼き殺されそうで怖くなる。
振り向いちゃいけない。
そう自分自身に言い聞かせながら
走って走って走った・・・・
息をあげて立ち止まったそこにあったバス停の名前を見ると
いつも使っている路線のバス停で、こんなところまで走ってきたのかとびっくりした。
その時丁度停まったバスに飛び乗る。
自宅付近まで行くそのバスの中で何とか席について震える手で携帯を開いた。
白木からは何の連絡もない。
――別れる覚悟はできているのか――
白木のその言葉が、頭から離れなかった―――