新天地へ-2
「そうなの、是非来てください、こんな田舎ですが離れの屋敷もありますし」
玲子の言葉に光也はここでやっていこういう決意のような気持ちになっていた。
「主人を紹介します」そう言って玲子は職員と光也をハウスの奥に案内した。
「あれが主人です、もうお爺さんですが」
塚本三郎は老け込んだ黒い顔で農作業をしていた。
「三沢さんです」
玲子が呼んだ、すると三郎はこちらを振り返えった。
「ああ、どこからいらしたんじゃ」
職員は光也を紹介しながら横浜からの来訪を伝えた。
「三沢光也と申します、よろしくお願いします」
塚本はあまり口数の多い方ではないが快く受け入れる様子だった。
「どうでしょうか、いい働き口だと思いますよ」
「そうですね、こちらでお世話になる方向で考えます」
光也はそう言ってハウスを後にした。
車中、職員は労をねぎらいながら言った
「三沢さん、あの夫婦だったらいいでしょう、奥様もなかなか美人ですしね」
たしかに職員が言うように美人である、人妻であってもそんな女性と働くことができれば悪くはないと思った。
光也は職場に帰ってからキリのいい日を決め事業者に退職願いを提出するのだった。
いよいよ10月からはあの町で働く決意を固めるのであった。