さ-1
「綾香、明後日のゼミの飲み会、来る?」
日曜日、レポートを2人で書きながら白木の家でお昼ごはんを食べている時
言いにくそうに白木がキリ出した。
「ゼミの飲み会?」
前に乃恵が幹事をすると言っていたあれか・・・
「だって、ゼミ生以外の私が参加していいの?」
「まぁ、たまに彼女とか連れてくるやつもいる」
「え。良いよ私は」
白木が乃恵にデレデレしているところを見たくもないし
乃恵にわざとらしく私との仲を見せようとする白木も見たくない。
そんなもん、勝手に白木が飲み会に行けばいい。
「乃恵ちゃんが、呼べって」
出た!白木の『乃恵ちゃん』!
私の事は昔から松井、なんて名字を呼び捨てだったし
ダミーの彼女役が始まってからは名前を呼び捨てなのに。
可愛く「ちゃん」付けなんかで呼ばれてみたいよ!!
「あっそ」
「・・・・来いよ」
「やだ」
まったく。バカじゃないの?このオトコは。
乃恵はとっくの昔に彼氏ができてラブラブだって言うのに
何年も何年も、乃恵ちゃん乃恵ちゃんって!
さっさと諦めりゃぁ良いのに!
「お前は・・・BBQは来るなって言うのに来るし
ゼミの飲み会は来いっつーのに来ないって言うし」
「・・・・」
「全く何考えてんの?」
それはあんたよ!