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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第5章 献身-1

私が風邪をこじらせ寝込んでいるのを知ったあなたは、仕事から帰るや否や、ジャケットもネクタイも外さずにベッドでコンコンと咳をする私の元に来てくれて物凄く心配してくれたよね。

真っ暗な部屋で風邪に苦しんでいた私だけど、ドアが開いた瞬間、まるで光の中から突然現れた神様のように見えた。神様のようなあなたはすぐにおでこに置かれていた濡れタオルを退かして手を当て、きっとかなりの熱が手に伝わったのかな…、慌てた様子で氷を詰めた袋をくるんだタオルを私のおでこに乗せてくれた。

「みーちゃん、大丈夫??喉乾いてない??」
あなたはそう言って手を握ってくれた。熱で頭がボーっとして、汗が出る程に体が熱かったけど、その熱よりもあなたの手は温かく感じた。物凄く辛かったんだ、あの時。でもあなたの手が私に大きな安心を与えてくれた。風邪、うつっちゃうよ?と言った私をあなたは嫌味のない笑みで吹き飛ばしてしまったよね。私はあなたに大きな愛を感じさせてくれた。

安心したせいか、私はいつのまにか寝てしまった。朝起きると私の手を握ったまま寝ているあなたを見て幸せだった。こんなに私を心配してくれて、私は幸せだった。仕事から帰って来てずっと私の側にいてくれ、そしてまた今からお仕事行くあなた。あなたに一晩守られて心強さを得た私は、逆にあなたを心配する余裕が出来た。風邪が怖くなくなった。あなたを独り占め出来るなら、時々風邪を引くのも悪くないかなとさえ思った。口には出さなかったけどね。そんな事言ったらさすがに怒られそうだったから。

目を覚ましたあなたは、具合が良くなった私の顔を見て眠そうな顔で微笑んでくれた。ありがとう…、私はその一言に胸いっぱいの愛を込めて言った。

次の日、あなたは咳やくしゃみをするようになった。けどあなたは決して風邪を引いた事を認めなかった。あなたは私とは違い風邪を引いても仕事を休まなかった。強いなぁ…、私は尊敬の念を抱いた。頼り甲斐のある人だって。あなたは私の作った生姜湯を飲んで元気が出ると笑って見せた。あなたが寝た後、あなたに気付かれぬように私は手を握ってみた。少しでもあなたに力を与えたくて、私はあなたの大きな手を両手で握りしめた。この温もりを一生与え、そして与えられたいな…、そう思いながらまだ風邪が治り切っていなかった私もいつのまにか寝てしまった。

次の日の朝、まだ気怠そうな様子を見せながらも笑顔を絶やさずネクタイを締めて仕事に出かけるあなたを見て、やはりあなたは神様なんだなって思った。あなたの大きな背中に、私はありがとう、ありがとう、大好きだよと何度も心の中で呟いていた。

あはたの温かい、温かい手の温もりがいつまでも私の心を安心させてくれる。


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