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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第6章 桜-1

私の住んでいる所にはたくさんの桜の名所がある。小さな山全体が桜に包まれる、名前の通りの桜山、国道の沿道に桜が立ち並ぶ通称さくら通り、県庁の周りにも桜が咲き誇り、休日になるとそれぞれの場所で人が賑わい、一年に一度の一面ピンクに染まる桜の季節に笑顔が溢れる。

その中で私が好きな桜の名所はさくら湖と言う湖の桜。桜山から近く、湖を取り囲むように桜の木がずっと立ち並んでいる。普段からサイクリング、ウォーキング、ランニングでここを訪れる人は多いし、白鳥や黒鳥が飛来するし水鳥も多い為、子供連れの家族が休日に良く訪れる。一言で言えばまったりとした雰囲気が通年感じられるのがさくら湖。加えて桜が咲くとその雰囲気がさらに増して湖面に反射する太陽の光と同様にみんなの笑顔が眩しく感じられる。

桜が咲く季節、あなたとここを訪れるのが好きだった。訪れる人が多いから駐車場はいつもいっぱい。少しイライラしながら渋滞する道路で駐車場を探すあなたには少しドキドキさせられたけど、ようやく車を停める事が出来るといつもの笑顔を取り戻し私の手を引いて歩き出すあなた。むしろ自分の方が楽しみにしているみたいだなって、私は心の中で苦笑した。

「やっぱいいねー、桜は!みーちゃんは??」
当然私も好きだと答える。だよねーと言いながら桜の写真を撮り始めるあなたに私は少し嫉妬したりする。桜を見上げると青い空を背景に白やピンクの桜が映える。風に舞う花びらも雰囲気を出していたが、一年に一度しか咲かない宝石のかけらが散る光景に少し切なさも感じてしまう。地面に落ちた桜の花びらが道を覆っている。木から離れその使命を終えた花びら。しかしその使命を終えても桜の花道としてまだ私達を感動させてくれる。そんな光景は私に全ての時間、全ての事に無意味な事はないんだと言う事を教えてくれた。たとえ使命が終わり地面に落ちたとしても、それは無意味な事ではないだ、と。私は地面に落ちた花びらを拾い上げ太陽にかざしてみる。

「それ、押し花にしようか?」
私の思った事を理解したのかどうか分からないけど、あなたはそう言ってたくさんの花びらを集めてくれた。その押し花を見る度に、私は今見ている光景を思い出し、この希望に満ちた素晴らしい季節に包まれる事だろう。

袋いっぱいに花びらを詰め込んだあなたに、私は「そんなにいらないよ」と呆れたが、あなたは捨てるのはもったいないからいっぱい押し花作ろうねと言って笑った。


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