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1.女体妖しく夢現(ゆめうつつ)
【その他 官能小説】

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女体妖しく夢現(ゆめうつつ)-6

(6)

 マナミが去って一時気が抜けたような日々が続いたが、若い肉体はむずむずと蠢かずにはいられない。
(ああ……)
扱き立てる夜、マナミは浮かんでこなかった。たしかに、漲った一物を埋め込んだ結合感覚は忘れられるものではない。だが、昂奮の最中に思い描く女陰は、多分に想像の、まだ見ぬ裂け目であった。
 道行く気に入った女子高生、あるいは中学生に関心が向くようになっていた。なかでも、まだ初々しい、あどけなさの残る子に心が揺れた。
(少女の体……)
子どもから大人へと変化し始めた若葉のような新鮮な体形。柔らかく膨らんだ胸。その双丘はまだ揺れる大きさではない。尻はスカートを持ち上げて左右に愛らしく揺れる。いずれ男を誘う肉塊となるのだろうが、いまは熟れ始めた果実である。そんな少女に惹かれるようになっていた。特定の女の子がいたわけではなかった。
(男の手が触れていない少女……)

 気が付くと、思い当たった。
(マナミと同じだ……)
脂ぎった男の幻影から逃れるように少年の私に没入したマナミ。そのマナミの執拗な性愛に辟易した私が、今度は初心な『女』を求めていた。蕾の少女の体と心が欲しかった。
 とはいえ、マナミを犯した男のように少女を手にかけようとしたことはない。声をかけたことすらなかった。

 純潔の少女を求める心がどんなに膨らんでも、横溢する性欲を解消してはくれない。まして、女を十二分に知った私の体は仮想のセックスでは所詮満足できるものではなかった。自慰は、いくら妄想を焚きつけてもやはり一時の慰めにしかならない。性体験がなければ未知の女体への想像が大きく拡がったのだろうが、行為を味わった体は想像力が貧困になっていたように思う。

 私はホステスの雑談の中に入っていくようになった。少女願望とはいえ、たやすく接触する機会はない。高まる性欲を排泄するには手近な対象物に接近するしかない。

「お菓子、食べますか?」
「あら、気が利くね、聡くん」
「ここに座んなよ」
以前なら恥ずかしくてとても出来なかったことが平気になっていた。女を知ったからである。だが、『少年』の顔は保つように心がけて演技した。そのほうが女たちは無防備になる。そもそも『ママ』の息子という立場である。高校生になって背丈は伸びても『男』として彼を捉える者はまだいなかった。

「聡くん。彼女いるの?」
「そんなの、いないよ」
顔を伏せて小声で言うと、
「わあ、照れてる照れてる。いるんだ」
「ほんとにいないよ」
「じゃあ、初キスはまだ?」
私は答えずに黙っている。
「からかっちゃかわいそうよ」
大きな笑いが起こり、私は恥ずかしそうに首を捻ってみせる。

 女たちの体臭がムンムンと満ちている。それを嗅ぎたくて部屋にいくのである。まだ子供のふりをして……。
 大人の肉体が触れるほど近くで揺れ動く。着替えをする。仕事用のブラジャーに替える女も……。
(いい胸だ……)
女を性の対象として見るようになっていた。
(女が欲しい……)
体と体の絡まりが欲しかった。

 目をつけたのは亜弥奈という女だった。理由は耳をそばだてているうちに男と別れて久しいということがわかったからだった。女たちのやり取りから聞き取ったのである。
(きっと飢えているぞ)
さして美人ではない。
 私はタイミングを見計らって囁いた。
「お姉さん、一番きれいだね。ぼく、大好き」
亜弥奈は驚いた顔を見せた後、けらけらと笑った。
「嬉しいわ。お姉さんって言ってくれて。ありがと」
子どもの冗談のように受け取った部分もあっただろうが、わずかに表情の揺らめきはあった。私はそう感じ取った。30半ばくらいだろうか、おばさんと言わなかったのはあえてしたことである。

 それからは意識して彼女を見つめるようにした。ふとした時に視線を感じて私を見る彼女の目が変わっていったのは数日後のことだ。
(またあたしを見てる……)
そんな感じだろうか。
 さすがに私を『男』として意識はしていない。それでいい。もし一人前に口説いたりしたら笑われるか、怒らせてしまうかもしれない。母親に告げ口でもされたらまずい。あくまでも切っ掛けは私を『釣って』ほしいのだ。マナミの時のようにうまくいくかどうか、とにかく、私は女体にかぶりつきたくてたまらなかった。相手は誰でもよかった。

 ある夕方、亜弥奈がいつもより早くやってきた。
「あら、帰ってたの?」
「はい」
「学校、いつも今頃?」
「だいたい、4時くらい。部活もしてないから。お姉さんも今日は早いですね」
亜弥奈はちらちらと私を見つめ、
「ちょっとね。聡くんに訊きたいことがあって……」
笑顔ではあったがどことなく硬い表情に見えた。

「聡くん……。最近、あたしのことよく見てるでしょ?ちがう?」
問い詰める言い方ではなかった。むしろ嬉しそうな、媚びた様子がうかがえた。
「ごめんなさい……」
「怒ってんじゃないのよ。何か理由があるのかなって思って……」
それで早めに来たのだと言った。

 私はためらいをみせてもじもじとしていた。
「どうしたの?」
「だって……恥ずかしい……」
亜弥奈がにじり寄ってきた。
「恥ずかしいことなの?」
私はぽつぽつと口を開いた。

「お姉さん見てると、ドキドキしちゃう……」
「そうなの?ほんとに?」
「きれいだし……」
「だけど……あたし、おばさんよ」
「ちがう、きれいだ、好きなんだ」
自分でも思いがけない強い口調になっていた。
 亜弥奈の頬は仄かに紅く染まって見えた。



 
  

 
 

  

 

 
 

  

 

 

 


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