たんぽぽは風に揺れて-9
(9)
部屋に戻って立ち尽くした。
(志麻子!……)
志麻子がベッドに寝ていた。布団に潜り、背を向けている。
どのくらいそのままでいただろう。わずかな時間だったはずだが、時が止まったような空白を感じた。
ゆっくり顔を向けた志麻子の目は潤んで見えた。
「お兄ちゃん……」
「……」
「あたしで、いいの?」
その声は甘えた響きをもっていた。
俺が答えずにいると静かに布団を剥いだ。目映いばかりの乳房が揺れた。
(志麻子!)
さらに布団を下げた。秘毛が現れ、肉付き豊かな下半身が露になった。
「きて……抱いて……」
潜めた声になった。
「志麻子……」
「何も言わないで……」
引き寄せられるようにベッドに寄り、跪いた。
瑞々しい肌、女の起伏が息づいている。
「好きにして……」
俺は大きくため息をつくと乳房に顔を埋めていた。
「あう……」
(志麻子のオッパイ……志麻子の体)
「やさしく、して……」
夢中になって乳首を貪ると志麻子が言った。
「痛い……」
そして、
「静かに……お兄ちゃん」
階下には両親が寝ている。
波打つ胸、腹部、盛り上がった秘部は漆黒に被われていた。何度も夢見た志麻子の裂け目はそこにある。
「ああ……」
俺を誘うように脚が開かれた。
映像で女陰を見たことはある。が、目の前に開かれた志麻子の性器は熱く生きていた。
股はさらに開かれ、両手で膝を抱えたことで陰裂が上向きになって充血した内部が見えた。
震えた。昂奮に震えた。
「おれ……」
言葉がうまく出ない。
「初めてなんだ……」
志麻子は目で頷き、
「あたしで、いいの?」
ふたたび訊いた。
幹の怒張はもはや限界に達して鈍痛を発し、血管は激しい血流に浮き上がっている。
割れ目に宛がおうと押し下げても屹立したペニスは凄まじい硬直で容易に角度が定まらない。
「お兄ちゃん」
志麻子の手が俺の腕を引き、俺を招いた。
体を倒していくと先端が柔らかな部分に当たった。
(あ!)
ペニスの根元に志麻子の手が触れたのと温かなぬめりの快感が広がったのはほぼ同時であった。導いてくれたのである。
「ああ……」
志麻子に重なった。思いのほか強い力で志麻子の腕が絡み、
「お兄ちゃん」
乱れた息遣いが耳に拭きかかったとき、怒涛の射精が起こった。
「くう……志麻子……」
突いた。痙攣しながら突いた。
(志麻子の中にいる!志麻子と結ばれている!)
熱い。志麻子が熱い。俺も熱い。
「うう……」
夥しい射精感が続き、全身が突っ張った。
やがて徐々に遠のいていく快感の余韻とともに力が徐々に抜けていった。
俺たちはしばらく重なったままでいた。硬さを失ったペニスは志麻子の体内にかろうじて納まって、微妙な膣のうごめきを感じていた。
キスをした。昔そうであったようにどちらからともなく唇を寄せていった。そして抱き合った。
兄妹の一線を越えてしまった。……志麻子と抱き合いながら、重い出来事なのに不思議と動揺はなかった。この関係をこれからどうしていったらいいのか、それを考えることもできない。
体のどこかに疼きの残り火がまだくすぶっていた。俺の手は乳房を揉み、尻をさすり、改めて志麻子を確認するように体をまさぐった。
むくむくと勃起してきたのはほどなくのことである。太ももに触れたことで志麻子にも伝わった。秘唇に指を差すとぬるっと吸い込まれた。愛液と精液が股間にべっとり流れ出していた。
「今日は安全な日だから……」
言いながら開脚した間に身を入れるとすんなり挿入された。
「あう……」
納まったペニスはズキズキと硬度を増していく。志麻子がのけ反ったことで膣の圧迫がはっきりと結合を実感させた。
(一つになっている!)
一体の歓びは果てしなく膨らんでいくようであった。