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たんぽぽは風に揺れて
【兄妹相姦 官能小説】

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たんぽぽは風に揺れて-3

(3)

 オナニーに没頭する時、妄想の中の志麻子に表情はなかった。無理もない。ふだんほとんど会話はなく、廊下ですれ違う時も互いに視線を逸らす日常だったのだ。しかし俺の勃起は志麻子によって引き起こされる。昂奮するのも昂ぶりを鎮めてくれるのも志麻子だった。
 それなのに、歓喜の放出とともに彼女を抱きしめていながら、面と向かうと頑なになって心が閉じてしまう。
(俺が愛しているのは誰なのか……)
俺が作り上げた偶像なのか……。だが、そうであっても根底に志麻子がいなければその偶像は生まれない。……愛憎は混濁として、濃厚な重みをもってうごめいていた。

 希望の大学に進学が決まった喜びとは裏腹に、沈んでいく心があった。東京で下宿をすることになるのだった。
(志麻子から離れる……)
直接触れることのない女体とはいえ、そばにいればイメージを鮮明に浮き上がらせることができる。寝息を聞き、ベッドのぬくもりを体感できないのは辛いことだった。
 せめて志麻子を身近に感じていたい……。下宿に向かうバッグには志麻子のパンティ、ブラジャー、そして靴下が入っていた。すべて洗濯をしていないもので、彼女が入浴中に洗濯籠から抜き取ったものだ。代わりにタンスから似たようなものを選んで突っ込んでおいた。どうせ洗濯は母親任せだ。わかりはしない。

 志麻子の肌に密着していた下着、靴下。これらはどれほど慰めになったかしれない。オナニーをしない夜でも枕元に置き、においを嗅ぐと気持ちが安らかになり疲れが抜けていくように眠りに就くことができた。志麻子のにおいが陶酔を誘うように癒してくれた。
 この下着を選んだのには理由があった。この日志麻子は校内マラソン大会だったのだ。
「マラソンどうだった?完走したの?」
「何とかできた。汗びっしょりかいちゃった」
母親との会話を耳にして迷わず抜き取ったものだ。ふだんの何倍もの体臭を吸い取った下着、靴下。数日間は湿っていた。生身の肌が浮かんでくるようだった。その後は臭気が強くなって、たぶん悪臭であったはずだ。だが俺にとっては志麻子をイメージさせる心の拠り所であった。

 帰省するのは夏休みと年末年始。家に帰るのが待ち遠しかった。初めての一人暮らしだったこともあるが、やはり志麻子のそばに行きたかったことが気持ちを煽っていたのだと思う。
 顔を合わせても志麻子が笑って迎えてくれるわけではなかったが、久しぶりだったからか、
「おかえり……」
珍しくそんな一言があっただけだ。
(志麻子……)
「うん……」
俺はぼそっとそれだけ答えたのだが、内心は嬉しかった。なんだかやさしい気持ちになれるような気がしていた。
 初めての夏休みに帰った時、自分の部屋に入ると気のせいか志麻子のにおいがした。
(いや、気のせいじゃない……)
微かだが彼女のにおいが感じられる。4か月の間、2階には志麻子一人である。人の様々なにおいはいつの間にか漂い、染み込むものなのかもしれない。しばらく離れていたことで敏感に感知したのだろうか。

 志麻子が隣にいる。物音がきこえる。気配がする。この生きた実感は下宿で下着を抱いている昂奮とは比べものにならなかった。一物は木材のように硬化し、跳ね続け、扱き立てればたちまち噴出した。射精に身を震わせながら、
(志麻子!)
俺は脳裏でその体を掻き抱いていた。
 大学には女子もいる。ゼミのコンパもあり、いくつかのグループもできていた。しかし、女の子たちを見つめると必ず志麻子が重なっていた。
(どうして、こんなに……)
まるで刷り込まれたように心に投影されていた。

 たまに会ってもほとんど会話もなく、視線をまともに合わせることもない。本来ならぎくしゃくした雰囲気が生まれそうなものだが、気詰まりと感じることはなかった。心の中に面影を抱き、想う……それで満たされていた。それは無意識の自制心だったのかもしれない。
(兄妹……)
その事実は考えるまでもなく抑制として働いていたのだろう。

 

 
 
 

  
 


 

 


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