恥じらいの中で-1
泣きべそかきながらバレエ教室を後にする浩美の後を追うようにして声をかけた。
いずみに、抑えきれない気持ちと、異様もないドキドキが体中を駆け巡っていた。
いずみ「来週・・・待ってるから」
そう言うといずみは、すぐに教室へ戻り、浩美は、夕日を背にして寂しげに歩いて
自宅へ帰って行った。
教室へ戻ったいずみは、まだ頭の中が混乱していたので、とりあえず今日は家に
帰ることに。。
更衣室へ戻ったときに、さっき浩美が着替えるときに脱いでいったレオタードと
バレエタイツが無造作に床に置いてあるのを見たいずみは、立ち止まりそっと
しゃがんで、怖いもの見たさ? いけない物を見るような気持ちで、いずみは
ドキドキしながら手に取った。
いずみ「 ・・・・濡れてる・・・ こんなにも・・」
いずみの心臓のドキドキが速くなっていく。
まだ浩美の体の温もりが残っているそのレオタードとタイツの感触にさらにいずみの
鼓動が速くなる。
いずみ「あ、だめ・・・ こんなこと・・・ でも気持ちが変・・・」
どれくらいの時間が経っただろうか、長い時間レオタードを手にしていた。
”はっ”と、いずみは我にかえって、すぐに浩美が着ていたレオタードとタイツを
洗濯するために袋に入れ、自宅に持ち帰った。
その夜、いずみはなかなか寝れなかった。
浩美が男の子だとはまだ信じきれなく、漏らしてしまったこと、バレエへの思い、
そして女の子になりたりという気持ち・・・
いずみ「あ〜〜〜〜もう〜〜〜 どうしよう〜〜〜〜」
いずみ「(あの子、女の子としてバレエをしたい気持ちは伝わるけど・・・)」
「お漏らしかぁ・・・・・(ため息)」
「でも私・・・どうしてドキドキするんだろう。。なんとなくいけない感じがする」
「あ〜〜〜もう 来週、そのときに考えよう!!」
いずみは、困っていたが、もし習わせるとなると別の事の問題があるのでそれをどう
解決すべきか考えていた。
でもどう考えても一つの方法にしかたどり着けないので、いずみは決心した。
そして日が立ち週の初めのレッスンの日が訪れ、いずみは浩美が来るかどうかわからない
がドキドキして待っていた。
初心者のクラスのレッスンが終わり、今日最後の中級者クラスのレッスンが始まる10分
くらい前に浩美がやってきた。
いずみ「(あっ、、浩美ちゃんきたー)」
浩美はレッスンする教室の前の見学ができる場所の椅子にちょこんと座って私を見て
小さくお辞儀した。
その姿がまた可愛くて、やっぱいいずみには男の子には見えなかった。
というより、今休憩して同じ見学する場所にいる別のレッスン生の女の子がまったく
変化がない。(気づいていない)
そう、周りの女の子は浩美が女の子にしか見えないのだ。
もし男の子に見えるなら今浩美の格好は、グレーのセーターに紺色の格子柄ミニ、そして
黒の薄めのストッキング、紙型は胸のとこまでのロングストレート。
それで男の子とわかったらみんなビックリして私に言ってくるはず。
でもまったく女の子と疑わない姿にいずみも関心していてある意味ホットしていた。
いずみは、浩美のとこへ行きこう伝えた。
いずみ「待ってたの・・今からもうひとクラスレッスンがあるから待っててもらっていい?」
浩美 「・・・はい、」
いずみは、次のクラスのレッスンへ戻った。
いずみ「(あの子、なんだか緊張してるみたいだったし顔が赤くなってて・・大丈夫かなぁ)」
いずみは思った。
たぶん、浩美の近くで休憩している女の子たちがいるからだろうと。
バレエのレッスンしてる女の子をこんなに近くで、それももしかしたらこれからその子
たちと同じように自分もレオタードを着てレッスンするって思うだけでドキドキして
きてるのではないかと。
いずみ「(恥ずかしい気持ちでいっぱいなのかなぁ・・・ なんだか可愛い・・・)」
「(なに、なに? わたし、、なに思ってるの? あ〜〜ちがうちがう〜)」
いずみは、恥じらう気持ちの中にいる浩美のことを心配している中に少しずつ惹かれて
いく自分自身を止められなくなっていた。
今日、最後のレッスンが終わり、生徒がみんな帰宅した後で、いずみは浩美のとこへ
行った(ドキドキしながら)
いずみ「ごめんなさい、、長く待たせて。」
浩美 「あ、いえ、大丈夫です。。 ちょっと緊張してて・・・」
いずみ「そっか、、1時間くらい時間大丈夫?」
浩美 「はい、大丈夫です」
浩美もいずみもなんだか緊張していて、浩美はあまり顔を上げず少しうつむきかげんで
ときどき眼が左右に行ったり来たり。
いずみは先週からずっと考えていたことを整理し、決心したことを話始めた。
そしてバレエ教室には、今までレッスンしていた女の子たちの空気が漂う空間が二人を
やさしく包んでいた。